2004.11.18
誤字等の館 (ごじらのやかた) に寄せられる読者様のコメントに対して館主が答える「誤字等の談話室」、その第8弾です。
「ファイヤワール」ですが… Ragnarok Online というオンラインゲームの中で、そういう魔法がありまし た。 このゲーム、原作の会社は韓国の Gravity というところで、今は日本の代理 店が運営していますが、日本でのサービス開始当時は Gravity の社員がロー カライズを行っていました。 日本人ではありませんから、数多くの誤字が誕生し、今でも一部では「重力 語」として親しまれていたりします。 多くは誤字・誤訳ではなく「文字化け」だったりしますがw
なるほど。「Gravity」だから「重力語」ですか。
Googleで調べてみたら、たくさん実例が出てきました。
しかし…これはちょっと、「ひどい」ですね。
「発音の問題」といったレベルの話ではなく、日本人を真面目に相手にする気がないのではないかと思わせられてしまいました。
文字化けの類はシステムの「バグ」でしかありませんから、誤字として考察する価値すらありませんね。
この会社、時間のルーズさを揶揄した「重力時間」といった言葉も生み出しているようで。
これらを「愛嬌」で済ませてしまうユーザが多いという実態は、なかなか興味深いものです。
きっと、本質である「ゲームそのもの」に、十分な魅力があるということなのでしょうね。
最近はビタミンからヴァイタミンに移行してるようですが。 ウイルスって気持ち悪いです。英語ではヴァイルスでしょ。 テニスのシングルスは?マキシシングルって何? ボトムにトップス何で上だけ複数形なの? アイロンとアイアン。ミシンとマシン。疑問は膨らむばかり
いろいろと疑問を感じていらっしゃるようで。
カタカナ言葉に疑いを持つこと自体は、良いことです。
実際、「パーテーション」のような「変な外来語」も蔓延していますから。
しかし、「外来語」と「英語」の区別は、しっかり付けたいところですね。
中でも、「ヴァイタミンに移行してる」は、初耳です。
ドイツ語由来の発音と思われる「ビタミン」は、既に十分定着した「日本語」です。
それをいまさら英語読みに変える理由が、どこにあるのでしょうか?
医者の使う「カルテ」も、「カード」と読み替えるのでしょうか?
「エネルギー」はやめて、「エナジー」に統一しますか?
国の名前も「ドイツ」ではなく「ジャーマニー」にしますか?
「英語」だけを崇拝する思想は、私には理解できません。
「ウイルス」については、「バイラス」や「ビールス」など、いくつかの呼び名があります。
業界によって、慣習的に使われる言葉が変わるようですね。
コンピュータ業界で現在使われている呼び名は、「ウイルス」あるいは「ウィルス」です。
元はラテン語の発音に由来するようですが、少なくとも英語ではありません。
それをわざわざ「ヴァイルス」だの「ヴィールス」だのと捻じ曲げて発音しても、コミュニケーションを阻害するだけの愚行でしかありません。
テニスの「シングルス」は、一人対一人で試合をするわけですから、「single」が二つで「singles」になっていると思うのですが…
何か問題でもありますか?
「マキシシングル」は、その名の通り「普通より大きいシングル盤」ですね。
「ボトム」と「トップス」は…すみません、このあたりはよく分かりません。
「ボトムス」という呼び方も、聞いたことがあります。
「アイロン」と「アイアン」、「ミシン」と「マシン」。
確かに、同じ英単語から生まれていますが、それぞれに異なる意味の外来語ですね。
これらは、その発音を「日本風」に解釈して取り入れた結果です。
同じ単語でも、日本語に取り入れた時期や経緯の違いから異なる表記になっただけのこと。
そんなに不思議なことでもないと思います。
他にも「アメリカン」が「メリケン」になったり、「レモネード」が「ラムネ」になったりした例もありますね。
いずれにしても、「日本語」に「英語」のルールを押し付けるのは、野暮というもの。
「外来語」としての地位を既に確立した言葉を否定するのは、相当に困難なことだと思いますよ。
2ch にはお気をつけなさいませ。 かれらはなかなかにあなどれません。 たとえば…… +インフレエンザ の検索結果のうち 日本語のページ 約 3,450 件 / +インフレエンザ -2ch の検索結果のうち 日本語のページ 約 857 件
本当ですね。2chを除外すると件数が大きく減ります。
ただ、これは別に「2chで誤字が多用されている」だけというわけでもないようです。
検索結果を全件表示してみると、同じ文章が何度も登場していることが分かります。
検索ロジックの問題なのか、2ch側の作りの問題なのかは分かりませんが、2chに登場した検索キーワードは何件分にもカウントされてしまうようですね。
以前はこんなことなかったはずなのですが、どちらかのシステムの仕様が変わったのかもしれません。
検索結果の数字に厳密さを持たせるなら2chは除外して検索した方が良さそうです。
誤字等の館では、そこまでの「正確性」を要求してはいませんが…
ここまで数値が異なると、何か対策を考えるべきなのかもしれませんね。
最近、「物議を醸し出す」という言い回しをよく見かけます。「物議を醸す」 と「〜を醸し出す」の混用だと思っているのですが、あまりによく見るので自 信がなくなってきました。取り上げていただけないでしょうか。
そうですね。一般に、「物議」は「醸す」ものであり、「醸し出す」のは「雰囲気」です。
「物議を醸し出す」は、ほぼ「誤用」と言って良いかと思います。
「醸し始める」という意味で「醸し出す」という表現を使っている可能性もありますが、まれでしょう。
本来の「醸す」は、酒や醤油などを醸造すること。
「物議」や「雰囲気」に適用されるのは、比喩的な表現でしょうか。
そして、「醸す」と「醸し出す」の違いは、「作る」と「作り出す」の違いですね。
その微妙な違いを理解できるかどうかは、その人の言語感覚によります。
自信を持って「この場合は『醸し出す』だ」と断言できる人もいるかもしれません。
しかし結局のところ、「物議を醸す」はひとつながりの成句ですから、変にいじらない方が賢明です。
私は、「ず」と「づ」の打ち間違いをよくします。 私は文字をローマ字で打っているのですが、 例えば「気づく」と書こうと「kiduku」と打とうとして、「kizuku」と間違 い、 変換で「築く」が出てきて、「やべ、また間違えた」となるわけです。 本気で「気ずく」だと思ってた時があって、でも変換されないので、 なんでかな?と思って辞書で調べたら「気づく」だったわけです。 調べてよかったです。
その「気づき」、それこそが大事だと私は思います。
「なんでかな?と思う」、「辞書で調べる」、そういったことができるかどうか。
それは、ひとつの「才能」と言って良いかもしれません。
なぜなら、それが「できない」人が、現実には結構多いからです。
それが「できる」人は、自然と「間違えること自体」が少なくなります。
その上、「調べる」という過程を通して、間違えたことが「成長」につながります。
「気ずく」などの誤字を放置する人は、それが「できない」人である可能性があります。
うまく変換されないことに気づいても、変換単位を区切り直して無理矢理変換してみたり、ひらがなのままにしてみたり。
自分の知識には一切疑いを持たず、むしろ「変換プログラム」の方を疑ってしまう人も。
そんな人は、成長の機会を自ら放棄し、ずっと恥をかき続けることになるでしょう。
無論、かな漢字変換も、さらには辞書といえども、常に正しいとは限りません。
「疑ってかかる」姿勢そのものは必要です。
問題は、「自分自身をも疑うことができるかどうか」に尽きます。
その能力を身に付けているかいないかで、獲得する知識は相当に違ったものとなることでしょう。