いつ、どこで起きるか分からない地震大国日本。昨年末から断続的に不気味な揺れが列島を襲う中、測量学者である東大名誉教授、村井俊治氏(74)は「南海トラフ巨大地震が春までに起きる可能性がある」と警告する。地盤の動きを解析すると、2011年3月の東日本大震災の直前と同じ異変が起きているのだという。地震学者ではない、異分野の権威が警鐘を鳴らすその衝撃内容とは−。
「近畿地方から四国、九州の広い範囲にわたって、巨大地震の前兆現象が起きている。春ごろまでに南海トラフで震度6以上の巨大地震が起きる可能性がある」
緻密なデータを示してこう指摘するのは、東大名誉教授で、測量学の分野では世界的な権威でもある村井俊治氏だ。
村井氏は昨年1月に民間会社「JESEA」(地震科学探査機構)を立ち上げ、会員向けに月210円で地震予測のメールマガジンを配信。同社の顧問として地震予測の研究に傾注している。
村井氏の研究の基になっているのが、国土地理院が全国約1270カ所に設置した「GNSS」(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム)という受信機のデータだ。衛星で地殻の動きをミリ単位で計測し、水平方向の変動だけでなく、上下の隆起、沈降も観測できる。
村井氏は、00−07年に起きたM(マグニチュード)6以上の地震162個の追跡調査を実施。その結果、すべての地震の前に、地殻の異常変動が起きることを突き止めたという。