残業代未払い求めるエンジニア「人間不信に陥る」
「人間不信に陥るよ」。それまで不平不満も言わず、まじめに働いていたエンジニアがある時、急に態度を変える。IT業界における労使トラブルでよく耳にする話だ。決して労働環境が整備されているとはいえない業界にあって、こうしたトラブルはいま、現場で頻繁に起きている。今回、当事者となってしまった東京都内の事業者も、「話に聞いていたが、まさか自分がという思いだ」と打ち明ける。
「不平不満も言わず、まじめに働くいいやつだ」。社長が最初に受けた印象で、何事もなく半年が過ぎようとしていたが、それまで何も言わなかったエンジニアが有休を取りたいと申し出てきた。代わりのエンジニアを用意するだけの余裕はない同社にとって、有休とはいえ休みを取られるのは痛手だ。社長は状況を説明した上で、苦肉の策として、有休を買い取ることで了承を得ようと試みた。
一時はそれでしのげたが、そのエンジニアの態度は徐々に悪化。何かといえば不平不満を口にする。見かねた同社長が注意しても、態度は変わらない。
対応に苦慮していた時、新たな問題が起きる。残業代の未払いを要求してきたのだ。払えないと諭すと、今度は弁護士を伴って発注元へ駆け込んだ。
同業大手の仕事をしていた同社は、発注元からその事実を聞かされ慌てた。後でわかったことだが、エンジニアは入社してから、すべての日報をコピーして保管していたのだという。確信犯だった。残業代の請求は500万円に上ったが、労働調停で妥協案を示し、半分の250万円で解決を図ったという。
しかし、問題はそれだけで終わらなかった。発注元から工数削減というおとがめが来たのだ。仕事は長時間拘束される上に、人月単価も残業代までカバーできる額には程遠い。トラブルの原因は、長時間の拘束をさせた発注元にも少なからずあるのだと社長は考えていただけに、「迷惑をかけたのは事実だが、工数削減には納得はできない」のが実情だ。
しかし、強く撤回を求めることもできず、従うしかないという。「平気で会社を裏切るエンジニアや、臭いものにフタをする発注元の姿勢に、人間不信に陥った」。会社を畳むことも考えたが、残ったエンジニアのためにも続ける覚悟を決めた。社長は、「自分の会社は自分で守らないといけない。不測の事態に対応できるよう、しっかりと環境を整備しなければならない」と話す。
元ネタ: 残業代未払い求めるドライバー「人間不信に陥る」|物流ウィークリー・物流と運送、ロジスティクスの総合専門紙
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