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中国のインターネット業界でここ最近、最も話題に上ったのが「ライブコマース」だ。ライブコマースとは、タレントやインフルエンサーが商品を紹介するのをライブ動画にて配信し、視聴者は質問やコメントをしながら商品を購入できるという新しいEコマースの形。大手ECタオバオ(淘宝網)傘下のライブ配信プラットフォーム「淘宝直播(タオバオライブ)」は昨年、GMV(流通総額)が1000億元(約1兆5800億円)を突破したという。
その淘宝直播をけん引するNo.1インフルエンサーが中国人女性の薇婭(viya)だ。2016年にライバー(ライブ配信者)としてデビューし、2019年6月に行われたECの販促セール「618祭り」では取引額5億元(約80億円)を突破した。これは小規模なECプラットフォームの年間GMVに相当する額だ。
今年4月1日、彼女は商業宇宙開発企業と連携し、ライブ配信で史上初の小型ロケットを販売したことで再度話題を集めた。元々の価格は4500万元(約7億円)のロケットは、ライブコマース優待価格で4千万元(約6億円)に割引き、最初に50万元(約770万円)の手付金を払う。ライブ配信を開始してから2時間後、淘宝直播は微博の公式アカウントで、「ロケットサービスは売り切れた」と発表した。
以下は、薇婭に自分の経歴やライブコマースに対する考えを語ってもらった。一部編集あり。
杭州はここ数日でめっきり春のよそおいとなった。従来型のオフライン企業にとっては気が抜けない季節だ。「オンラインへの転向」に向けて多くの企業主が今まさに、または準備を進めているところだ。というのも、私自身もかつてオフラインからオンラインへの転身を経験している。自身の経歴も交えながら、ECライブビジネスについて話し、自らの実体験を皆さんにシェアしたい。
オフラインからオンラインへ
2003年、北京動物園近くにある卸市場で1号店を開いた。その後、西安に移り、十数店舗を開き、業績も少しだけ上がった。その数年後にはECが急成長しはじめ、多くの人のライフスタイルに変化がもたらされた。ある日一人の女の子が私の店で試着した際、その女の子がスマホでネット上の価格を調べ始めた。目にしたときはムッとしたが、すぐさまこうすればいいんだと思った。このことは私にとっては衝撃的だった。当時、どこからそんな勇気が出て来たか分からないが、帰宅するとすぐ、夫に全ての実店舗を閉店してネットでお店を出すことを相談した。
オフラインからオンラインへの道は思っていたほど簡単なものではなかった。1年目は何も分からず200万元(約3000万円)の損失を出してしまった。しかし時代の流れに対する自身の判断を信じた。また、着実に地に足をつけ、商習慣を守り、商品をしっかり売り、優れたサービスを提供すれば、ユーザーは必ず付いてくるとも信じていた。現在振り返ってみると、オフラインの実店舗オーナーから、天猫でのオーナー、さらには現在のECライバーへと変わった。多くのものが変化している中、この道を歩むことになった当初の価値観だけは今になっても変わっていない。
すべての物がライブコマース可能
多くの人が2016年はライブコマース元年、2019年はライブコマースのブレークスルーの1年だと述べている。また私を矢面に立った貪欲な奴だという人たちも多くいる。私自身はライブコマースというこの業界と共に成長できるわけだから、大変ラッキーだと感じている。2016年3月、ライブ配信プラットフォーム「淘宝直播(タオバオライブ)」がスタートした。それから各プラットフォームでのライブコマースが次々と現れ始めた。当時は誰もライブコマースがどんな風に発展するか予想だにしていなかった。2018年、淘宝直播の取引額は1000億元(約1兆5000億円)に達した。2019年にライブコマースは業界最前線に押し上げられ、大型セールイベント「双十一」期間中だけで淘宝直播の売上高は200億元(約3000億円)にも達している。
私自身はおそらく最も早くライブコマースに参入した1人である。2016年5月、販売していたのは自分の店の服や服飾品だったが、だいたい5000人くらいのアクセスがあり、あの2時間の緊張はどのように表現していいのか分からないくらいだった。現在、私たちのライブ配信ページでは服飾のほかに、メーク、おやつ、家電、日用品など何でも揃っている。映画チケットや本なども販売している。私たちのライブ配信を大型デパートに例える人もいる。ある視点から見ると、ライブコマースは多くの人の消費習慣に影響を及ぼしつつあり、これまでのオフライン業界もゆっくりと方向転換し始めていると思う。
昨年11月、ラブコメ映画「受益人(My Dear Liar)」のチケットをライブ配信で販売した。これまでは事前にチケットサイトで購入するか、映画館に直接行って購入していた。低価格の予約販売を除けば、多くの人が事前に映画チケットを集中的に購入する現象は見られなかった。当時、私のファンがチケットを買ってくれるのかどうか誰も分からなかったが、ふたを開けてみると、ライブ配信が始まって6秒で11万枚を売りさばいていた。また経済学の薛兆豊教授が私たちのライブ配信で『経済学講義』の本を販売したときは、みんなは冗談だろうと思っていたようだった。しかしその日のライブ配信で6万冊余りを売り上げた。4月には住宅もライブ配信で販売する。ライブ配信では、すべての物を販売することができるのだ。
このような経験をシェアするのは、決して私のマーケティングスキルが優れていることを言いたい訳ではない。不思議なことにライブ+映画エンターテインメント、ライブ+出版物、さらには私たちのライブ配信ではライブ+飲食、ライブ+自動車などこれまでには考えられなかった分野の組み合わせが化学反応を起こしている。このような試みは今も際限なく広がり、ECライバーとしては次々とブレークスルーを果たすことへの喜びと驚きを感じている。
私はいつも新しいことへチャレンジしたいと思っている。私のライブ配信で販売する商品が増えていくのと同じようなものだ。決してお金目当てではない。私自身この仕事が好きで、話をしたり皆さんと共感できたりすることが好きなのだ。ファンのニーズや信頼も大切にしたいし、ファンの方が欲しい物を探す手伝いをする満足感を皆さんと分かち合いたいと思っている。
(翻訳:lumu)
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