人口爆発を越えるのは超人口爆発だけ
東京23区のような広く薄い都市でも1.5万人/km^2を超えます(香港で10万人/km^2)。地球の面積は5億km^2であり、東京程度の人口密度で地球を覆えば75兆人。逆に言えば、地上の1%が地球レベルの都市に覆われただけで総人口は1兆人に達します。
数千メートルの高層ビル群が供給する床面積は膨大で、人口密度は2000万〜1億人/km^2。例えば惑星が地上2000階のビルで覆われてしまえば、それは惑星が2000個あるのとおなじ面積です。公共空間や様々な余裕を含めたとしても人口密度1000万人を切るオーダーでは相当疎らな印象というかスペースの供給過多でしょう。(35*35*100m)のマンションを単純に拡大して(3.5*3.5*10km)のマンションは体積が100万倍、前者に1000人が居住している仮定で後者ではマンション一棟あたり10億人になります。日本が10個一つのビルの中に入ったようなものです。(8000万人/km^2)
3000階で2000万人/km^2を仮定すれば一人当たりの占有面積は150m^2、4人で400m^2(200畳)。交通機関、公共空間、工業地帯、海、オフィス、ビルとビルの隙間などに割かれる体積を考慮しても、居住空間の割合が20%もあれば、80m^2/4人で普通に達成される人口密度。仮に地球と同程度の表面積(5億km^2)があったとして、10^16人とかその程度。(居住空間比2%の)一桁少ない200万人/km^2の推計で10^15人
完全都市惑星の人口については、人間の炭素量に換算して1000兆から1京人相当というのが海外フォーラムなどでよく語られるラインです。
廃熱問題、究極のヒートアイランド
これほどの人口密度になると産業活動どころか、人体(100W)から出る熱量だけで惑星を暖めるのに十分です。2000万人/km^2で100W/人を仮定すれば単位面積あたりで発生する人体エネルギーは20kW/m^2になり、これは太陽光の20倍の熱フラックスになります。別に太陽がなくても、産業活動をしなくても人間だけで地上の温度を500度は上昇させることができるでしょう。キロ当たり200万人推計でもその熱量は太陽を超え、地球の都市と違って熱は周囲に逃げることはできず、宇宙空間に捨てるしかないです。完全都市惑星はたとえ中心星が死に絶えても凍らないし、無数の街灯で昼のように光り輝いています。太陽などいらんのです。
これに産業活動が加わるとヒートアイランドとかそういうレベルじゃねーぞという話。惑星全体を数百度に加熱するほどの廃熱を赤外線レーザーか何かにして収束させれば余裕で核を越えるエネルギー量に。デススターを想像させます。水か何かを加熱してロケットエンジンにすれば惑星ごと移動できそうです。
必要なエネルギーはどこから供給するか
地球の200万倍の人口を抱える惑星です。地球程度の生活を仮定しても地球が1年で消費するエネルギーを15秒で消費します。化石燃料は気休めにもなりません。地球と同じ資源埋蔵量を仮定し、0秒で採掘してマッハ10の流速の配管で流しても末端に燃料が届く前に惑星の全ての埋蔵資源を消費し尽くしてしまいます。星一つの化石資源など1時間以内にすべて枯渇するでしょう。原子力や核融合ですらどれだけもつかあやしいものです。
未知の超エネルギーを仮定しない限りエネルギーの自足は至難、京のオーダーの人口を抱える惑星は、何千万という惑星に支えられて初めて存在できるでしょう。その惑星は毎年何万という惑星の資源をを貪り食うのです。
水と食料はリサイクルでおねがいします
水は海があれば意外に問題ない。水の年間消費量は地球の海水の総量と同程度。10億人の住むマンションにどう水を供給するか(流量とか)という問題はありますが、1年で海水が全部入れ替る程度の循環で実現可能
食料は工場製品とリサイクル食品で我慢してください。惑星上に炭素はいくらでもあります。輸入しだすときりがありません。家畜飼料を含め一人あたり年間100kg(300g/day)の輸入食料が必要が必要だったとして、10^15トンとかを輸入する羽目になります。10万トンクラスの輸送宇宙船が毎日1億隻とかそういう事態に陥ります。軌道上に何億隻と巨大タンカーを置くのは大変です。
交通機関の利用は緊急車両も禁止します
公共交通機関も控えましょう。ネットもありますしどうぞ住職接近で引きこもってください。隣のビルの有名な店に食べに行くなんて考えないで下さい。それは別の惑星と同じです。1平方キロメートルあたり2000万台のマイカーなりそれに類するもので溢れかえるという事態は悲惨です。渋滞とかそういうレベルじゃないです。幅500m、100階建ての高速道路があっても全部埋まるのは一瞬です。一つ一つのビルが小さな惑星並みの人口を抱えているのです、そんなか細い道路は何の役にも立ちません。車が空を飛んだところで一緒です。イナゴの大量発生とかそれどころじゃない悲劇が起こります。
何百兆というマイカーが空を飛べば、完全に視界が埋まります。空中ではどちらをみても車しか見えません。地上すら見えないでしょう。
1億倍の市場、文化・商業とか
一人100円の利益で、ネットとかで100兆人(都市人口の1%)に広まれば1京円の利益。星が一つ買えるほどの値段です。日本の1億倍大きさがあって成熟した市場の可能性というのは完全都市惑星に人をひきつける魅力になるかもしれませんね。日本では10人くらいか愛好者がいない恐ろしくニッチな市場でも10億人は同志がいることになりますから十分成立します。
1兆人規模のカルト教団とか、なかなか不穏な世界も予感させますが、メディアに溢れる情報や刺激も他の比ではないでしょう。
環境問題
廃熱だけでなく二酸化炭素や酸素などの適切な調整が必要。人は1日あたり10m^3の空気を呼吸します。都市全体で1日に人の呼吸だけで消費される大気は1億[km^3]であり1ケ月もあれば大気中の全ての酸素を呼吸だけで使い切ってしまいます。ビンの中で生活するようなものです。発生した二酸化炭素は膨大なヒートアイランドをさらに押し上げます。
植物を植えて炭素固定などという悠長な方法は不可能、大気中の二酸化炭素に直接エネルギーを投入して炭素(食料)と酸素を供給する必要があるでしょう。
人から立ち上る蒸気だけで積乱雲が発生し、止むことのない豪雨、膨大な熱と情報の飛び交う都市、惑星を覆いつくような都市なるものが存在するとしたら、恐らくそのようなものになるのではないか、そんな気がします。逆に言えば都市構造物という存在はそれだけの稠密性を備えた存在です。