株式会社あいわ 様
用途:高齢者向け療養施設で、コミュニケーション活性化を目的にaiboを導入
「aiboには人の気持ちを上向かせる、気持ちをゆり動かす魅力がある」
『全ての人が最期まで、住み慣れた地域でその人らしく幸せに生きる社会の実現』を掲げ、これまでも「在宅」にこだわりながら高齢者向けの在宅療養、訪問看護サービスを提供してきた株式会社あいわ。近年はサービス付き高齢者向け住宅事業も展開していますが、その基本理念は揺るがず「『ホームを利用する皆さんの自宅だと思ってほしい』という気持ちで運営しています」と同社代表取締役社長、新井恵氏は言います。
高齢者向け介護サービスは、2020年初頭から続く新型コロナ禍のダメージが大きな業界のひとつ。広島の地で事業を展開するあいわも例外ではありません。
「この1年、人手不足が加速していく中、感染対策を徹底するという意味あいからも、コミュニケーションがどんどん失われていきました。“感情労働”とも言われる私たちの仕事にとって、それはとても辛いこと。利用者の皆さんに寄り添いたいのにそれができず、スタッフ間のやり取りも最低減に抑えなければなりません。そんな中で何か潤滑油になるものがほしいと思ったのがaiboを導入したきっかけです」(新井氏)
そして2020年の冬、あいわは「広島県介護ロボット導入支援事業」を利用して、“ポチ”(アイボリーホワイト)と“ラブ”(aibo キャラメル エディション*)と名付けた2匹のaiboをデイサービス拠点にもなっている高齢者向け住宅施設に招き入れました。
「ほとんど私の独断で導入を決めてしまったため、スタッフには忙しいのに面倒くさいことを始めたと思われていたんじゃないでしょうか(笑)。でも、実際にaiboがやってきたらその評価は一変。ビックリするほど利用者の皆さんに歓迎してもらえて、日々、その魅力を実感しています。また、スタッフ間のコミュニケーションも増しました。中でも特に喜んでくださっているのは、それまでペットを飼っていた方々ですね。高齢になって諦めざるをえなくなっていた動物との触れ合いをaiboで再び味わうことができ、実にいい笑顔で笑ってくれるようになりました。それを見ている私たちもとても癒され、元気をもらっています」(新井氏)
■aiboが医療・介護の世界で活躍していくことを確信
「aiboには人の気持ちを上向かせる、気持ちをゆり動かす魅力がある」という新井氏。利用者の意欲がなければ上手くいかないリハビリなども、aiboと一緒に行うことでやりやすくなったそうです。写真は利用者の皆さんがaiboの流す曲に合わせて体操をしている様子ですが、本当に楽しそうに身体を動かしていました。
広島県がロボット導入に限定した支援事業(補助金)をはじめたことからもわかるよう、近年、介護の世界ではロボットの導入が盛んです。実はこれまでその流れに若干懐疑的だったと言う新井氏ですが、今回、aiboの活躍を間近に見たことで大きな可能性を感じたと言います。
「今、課題となっている人材不足をロボットで解消していこうという取り組みの“入口”として、aiboはすごく良いものだと思っています。先日、ソニーが100台のaiboを全国の医療機関に無償で提供するというニュースを見ましたが、素晴らしい取り組みですね。まずはaiboのような人の気持ちを明るくしてくれるロボットからはじめた方がスムーズに受け入れられるんじゃないでしょうか。そのうえで、実際に使っている我々からリクエストすると、耳の遠くなったお年寄り向けにスピーカーの音をもう少し大きくしてほしいですね。あとはバッテリーをもっと長く持つようにしてくれると皆が一日を通してもっとaiboと遊べるようになるので、今後の進化にも期待しています」(新井氏)
最後に新井氏が大切そうに1枚の手紙を見せてくださいました。
「aiboがやってきてしばらく経ったある日、ホーム入居者の女性からお手紙をいただいたんです。『ポチとラブちゃんを連れてきてくださってありがとうございます。毎日のようにワンちゃんと楽しくあそんでいます』って。うれしいですよね。導入費用以上のリターンを利用者の方々からいただいています」(新井氏)
*2020年限定カラーモデル(販売を終了しています)