宿泊する宿に夜10時ごろにチェックインし、宿のスタッフに教えられた近くのコンビニ(少し遠い)に買い物へ行く。東北でも夜まで暑いのかと思いながら歩く。
買い物を終えた帰り道、タイルが敷かれた店の軒先に秋田犬とその飼い主さんがいた。
かわいいなぁと思いながら犬を見て通り過ぎようとしたら、飼い主さんが「臆病だから正面は苦手だけど横を撫でられるのは大好きです」とか言うもんだから遠慮なく撫でた。
「白くてかわいいですね。秋田犬ですか?」といったら「そうです」と返答する。
「メスですか?」と聞くと、よく言われるというように「オスです」と答えた。
白くて大きな秋田犬の毛は硬いが背に沿って真っ直ぐ生えている。大きな犬の背を撫でながら、この子は撫でられ慣れていて、飼い主はもちろん街の人に愛されていると思う。
「毎日、暑いけどこの時間帯のここの床はいい塩梅に冷えてこの子のお気に入りなんです。だからなかなか帰ろうとしない」
迷惑そうだけど、そんな犬のわがままを嬉しそうに飼い主さんは話す。
そんなに冷たくなるのか?と思いながら床に触れてみるとひんやりしていた。「これは冷たくて気持ちいいから帰りたくないかもですね!」と、私。
すると飼い主さんは「冬は冬で雪が大好きだから帰りたくないってなるんですよ」と、これまた迷惑そうだけど嬉しそうに言った。
「秋田犬はそうなっちゃうかもですね」と応じながら犬を撫で、「そろそろ帰ります」と伝えると、「(犬の)名前はコジロウって言います。いつもこの辺で散歩しているんで、またお会いしましょう」と飼い主さんが言ってくれた。
この地に、次いつ来られるかわからないが、今度は冬に来たい。雪にはしゃぐコジロウを見たい。白い景色に同化して、なかなか見つけられないかもしれないけど。