Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

2024-10-06

やっと殻を食べ切った気がする

アラサーなんだけど、なんか最近世界を遠くまで見渡せるようになった感覚がある。

見えなかったものも視界に入るようになったって言うか、独立して認識できなかったような背景の一部が一個体として存在しているって認識たかのような、なんて言えばいいのか、

道路の「トマレ」の白文字が車に乗るようになってから目に入るようになった感じっていうの、

そういう感覚が全てにおいてある。

あとちょっと驚きなのは多分それは他の人にはずっと前から見えてた景色なんだってことなんだ。

わたしは昔からちょっと浮いてるっていうかぼんやりしてる子だった。

みんなが指示されたことをチャキチャキ進めていったり、自分のやりたいことを主張したり行動したりするのをボーッと見てるだけだった。

その頃はあらゆることが自分世界で起きている出来事だと思えなくて、自己主張したり行動したりすることで干渉できるとはっきり理解できてなくて、この世界で思い通りにできるものわたしの頭の中にしかなかった。だから頭の中では活発だったけど当然体は動いてないからボーッとしてたんだよね。

でもさ、社会人を数年やってきて、やっぱり自分で考えて選択して、それを行動に写すってのがどうしても必要になる訳よ。

から十まで聞くわけにはいけないからさ。

最初はどうしていいかとにかく分からなくて聞きまくってたけど、とにかくやれ!って言われたりして、とりあえず他人の真似してやってみたりしてるうち、そのうち自分思考に合わせて行動してみたりして、それでわたしの行動で相手や、物体や、状況が変わって変化が生まれて。

最近ようやく、ああ、この世界には本当にいろんなものがあって、わたしはずっと背景だと思っていたものの中にいたんだなって実感が湧いてきた。

それでさ、ふとモンシロチョウのことを思い出したんだよね。(急でしょ?まあ聞いてよ)

昔家にクレヨンしんちゃん昆虫図鑑があったんだよ。

4コマ漫画解説付きだった。

そこにモンシロチョウが生まれから蝶になるまでが、しんちゃんが蝶になりきって漫画で描かれてたの。

モンシロチョウは卵からまれてすぐ、自分を覆ってた殻をムシャムシャ食べて、そこから葉っぱを食べたりして成長していくんだって

なんかわたし、ずっと殻を食べてたんだなって思った。

まれてすぐ目の前にあった自分の殻を食べ始めて、一生懸命食べてる間視界いっぱいの殻が世界だと思い込んでて、当然そんなんことはないんだけど、分かってても殻の中から出てみようとしてなかった。

わたしがそうしている間、他の子はとっくに殻なんて食べ終わってて、自分の這っている葉っぱを齧ってみて食べられるんだとか、空は青いんだとか、この世界にはどうしようもないような天敵がいることとか、それをうまくやり過ごす方法とか、そういうのをとっくに学んだり気づいたりしてたんだと思う。

わたしは今やっと殻を食べ終えたところで、開けた視界の果てがが永遠に見当たらないことにちょっと戸惑って、試しに齧った葉っぱが瑞々しいことに気付いたあたりなんだと思う。

蝶になった人から見たら、未だ青虫のわたしちょっと哀れに思えるのかもしれないけど、この世界にはまだまだ知らないことがあって、わたしはこれから色んなことを知れるし何にでもなれることに気づけたのだから嬉しいんだ。

来ないまま終わってたと思ってた青春が実はこれから先に用意されていたと気付いた、みたいな。

とりあえず、なんとなく生き延びててよかったよ。

  • 乾燥地域なんかにいる虫は雨降ると大量発生するけどそれまでずっと卵や蛹で休眠できるんだけどモンシロチョウなんかも蛹で休眠できるタイプ。でもそのタイプの生物ってみんな短命...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん