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【ゆきてかへらぬ】広瀬すずが「抱いて」と大人へ脱皮!/秋本鉄次「映画 ハマるならこの1本」

 国民的人気女優の広瀬すずが、奔放なヒロインを大胆に演じ「すずちゃん」から「大人のすず」に脱皮した文芸大作だ。原作は、大正から昭和にかけて、詩人の中原中也、文芸評論家の小林秀雄など著名人と交流を持った女優・長谷川泰子(1904年~93年)の自伝エッセイ。刊行から約半世紀経つが、人気再燃中だという。監督は「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」(2009年)以来16年ぶりにメガホンを取る、根岸吉太郎。キャストも木戸大聖、岡田将生と充実している。

 大正時代の京都。駆け出し女優の泰子(広瀬)は、学生の中原中也(木戸)と運命的な出会いを果たす。互いに刺激し合い、一緒に暮らし始める。やがて、東京に引っ越した2人は、中原の詩人の才能を誰よりも知る評論家・小林秀雄(岡田)とも関係を深める。その後、小林の想いを受けた彼女は、中原のもとを去り、彼と生活するようになるが…。

「女優・詩人・評論家」の奇妙な「トライアングル・ラブ」が、濃密に描かれ、私は見惚れてしまった。根岸監督が秋吉久美子と組み、大胆濡れ場を演出した「ひとひらの雪」(85年)、「透光の樹」(04年)を想起するほどだった。

 秋吉に及ばないまでも、初めて広瀬に“大人”を感じられた。いわゆる“恋愛体質の女”を見事に演じてくれている。特に、小林に真っ昼間、浴衣姿で迫り「なぜ、抱かないの?」「中原に見せてやりたい」と挑発的に迫る“おねだり”シーンはゾクゾクさせる。

 女性から求めることが憚られる時代に、主導権を握るヒロインには一種の爽快さすら感じた。これは、広瀬すずの「転換期」の作品だ。“一皮剝けた”すずを見逃すことなかれ!

(2月21日=金=より全国公開、配給 キノフィルムズ)

秋本鉄次(あきもと・てつじ)1952年生まれ、山口県出身。映画評論家。「キネマ旬報」などで映画コラムを連載中。近著に「パツキン一筋50年」(キネマ旬報社)

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