次期macOS「High Sierra」が発表に
アップルの開発者向けイベント「WWDC 2017」で次期macOS「High Sierra」が発表された。本稿では、発表と同時にアップルの公式サイトで公開されたmacOS High Sierraプレビューページとともに、High Sierraの概要をチェックしていこう。
前提として、High Sierraではファイルシステムが、フラッシュストレージを前提とした64ビットアーキテクチャーの「APFS(Apple File System)」へと変更される。すでにiOS 10.3では採用されているが、macOSに採用されるのははじめてのこととなる。
現在、動画のフォーマットとして広く普及しているH.264の後継規格にあたる「H.265(HEVC)」フォーマットをサポート。H.264と比較すると、同じサイズの4Kビデオを圧縮した場合に、およそ40%も高い圧縮効率を実現するとしている。ビデオのブロードキャストの高速化や、保存時の容量の低減が期待できる。
グラフィック用のAPIである「Metal」がバージョンアップされ、「Metal 2」に。これにより、VRコンテンツに対応するほか、内蔵のGPUでパフォーマンスが不足する場合に、Thunderbolt 3経由で外付けのビデオカードを利用することも可能になるという。
こちらがHigh Sierraのユーザーインターフェース。一見したところは、Sierraと劇的な違いがあるわけではない。より効率化され、アーキテクチャーの改善をメインとしたバージョンアップと言えるだろう。それは名称にも表れているかもしれない。
「写真」アプリはインターフェースを刷新。バーのシークによるこれまでの簡易的な編集だけでなく、トーンカーブが調整できるようになった。さらに、写真アプリ内から「Photoshop」など、サードパーティー製の編集アプリを立ち上げ、編集し、そのまま保存できるようになるらしい(具体的なタイプアプリなどは現時点で不明だが、PhotoshopやPixelmatorなど、一部は公式ページで紹介されている)。
パーソナルアシスタント「Siri」は、話す内容によって抑揚やイントネーションが変化するようになる。公式サイトでは、従来よりも、より人間的になると解説されている。
「iCloud」のクラウドドライブに保存したデータをOSから共有し、複数人で編集したり、閲覧したりすることができるようになる。iOS 10でメモの共同編集機能が追加されたが、ちょうど似たような仕組みになるかもしれない。また、テレビ電話機能「FaceTime」での通話中に、相手の映像を「LivePhotos」として保存できるように。LivePhotosはiPhoneの「3D Touch」機能と連動してiOS側でも再現できるため、よりiOS端末との連携が強化されるようにも見れる。
さらにここでは紹介し切れないさまざまな機能が搭載されるmacOS High Sierra。やはりメインとなるのはファイルシステムの変更やグラフィック向けAPIなど、深いレベルでOSに関わる部分。VR対応など大きな新機能が追加されているものの、グラフィックインターフェースは大きく変えず、印象は据え置いている。「High Sierra」という名称が表すとおり、OSとしてさらなる高みを目指したバージョンアップと評価できるのではないか。