NetBackup最新版でAPI強化、他製品との連携によりデータ保護レイヤーのシンプル化を図る
ベリタスが「NetBackup」を中核とする新データ管理基盤発表
2019年07月09日 07時00分更新
ベリタステクノロジーズは2019年7月3日、バックアップ製品「Veritas NetBackup」を中心に据えた新たなエンタープライズ向けのデータプラットフォーム戦略「Veritas Enterprise Data Services Platform」、そして国内市場のビジネス戦略に関する記者説明会を開催した。エンタープライズ顧客にフォーカスし、販売パートナーとの協業をさらに強化する戦略で、今年度は「国内事業の2ケタ成長」を必達目標に掲げる。
データ保護/可用性/インサイトの3領域を統合するエンタープライズデータ基盤
説明会冒頭にあいさつした日本法人社長の大江克哉氏は、日本法人社長就任からこの2年間で最も大きな動きだったのは、新CEOのグレッグ・ヒュージ(Greg Hughes)氏が就任したことだと述べた。
ヒュージ氏は就任後、グローバルトップ100企業のCIOと面談を行い、その中でエンタープライズ顧客がデータ管理に対して抱える4つの課題を理解したという。「データ量の急激な増大」「ハイブリッドクラウド移行における現在と同等のデータ保護レベル」「ランサムウェアに対抗できるレジリエンシー(回復力)」「データ規制/コンプライアンス対応のための十分なデータ可視化」の4つだ。
これに基づき、ベリタスのグローバル市場戦略は2つのポイントに絞り込まれた。同社の中心的な顧客であるエンタープライズや公共機関の課題に徹底的にフォーカスすること、そして旗艦製品であるNetBackupを中心に据え、強化するとともに周辺製品との連携によりプラットフォームを構築/拡充していくことの2点である。
米国で6月20日に発表された「Veritas Enterprise Data Services Platform(以下、EDSP)」は、この2つの注力ポイントに基づいた新たな製品ビジョンとなる。常務執行役員の高井隆太氏は、EDSPはエンタープライズ顧客に「保護」「可用性」「インサイト」の3つを提供するものであり、具体的にはNetBackupを中心とするベリタスの製品群をAPI連携させ、これまで複雑化してきたデータ保護のレイヤーを抽象化してシンプルにする狙いがあると説明する。またオンプレミスの物理環境、仮想環境、パブリッククラウドまで、顧客のデータがどこにあっても同じように保護し、インサイトを提供できる点も強調する。
このEDSPを実現していくために、NetBackupや「Veritas InfoScale」といった製品群ではそれぞれ新機能が追加されている。
EDSPの中核をなすNetBackupの新版では、提供するAPI数を441まで拡充し、他製品とのAPI連携を強化している。その活用例としてバックアップ&リカバリーアーキテクトの勝野雅巳氏は、「Veritas Resiliency Platform」とのAPI連携による低コストなクラウドDR環境の構築、「Veritas CloudPoint」とのAPI連携によるNetBackup側からのストレージスナップショットの制御、「VMware vRealize」とのAPI連携によるvRealizeからのVMバックアップ/リストア制御といったソリューションを紹介した。
またアプリケーションの可用性を維持するInfoScaleでは、新たにパブリッククラウド(Amazon Web Service、Microsoft Azure、Google Cloud Platform)向けの専用エージェントを提供することで、パブリッククラウド上の高可用性構成をサポートする。そのほか「Nutanix」「Dell EMC ScaleIO(VxFlex OS)」との親和性向上、インフラ自動化ツール「Ansible」向けのテンプレート提供などの新機能がある。
データのインサイト(可視化)分野では、まず「Veritas Information Studio(旧称:Information Map)」において、新たに「データ分類エンジン」を搭載した。従来はNetBackupが付与したメタデータやファイルシステムそのもののメタデータに依存していたが、このエンジンは独自にファイルをスキャンし、700以上の事前構成済みパターンと110以上のポリシーに基づいてデータの分類やタグ付けを自動化する。
もうひとつ、今年2月に買収した製品を統合した「Veritas APTARE IT Analytics」も発表している。これはマルチクラウド環境やハイブリッドクラウド環境といった、マルチベンダーのインフラ環境(オンプレミス/プライベートクラウド/パブリッククラウド)について、3万以上のデータポイントからデータを収集して利用状況を分析し、コストの最適化やキャパシティプランニング、サービスレベル管理などに生かすものだ。
国内事業は引き続き「4本の柱」に注力、2ケタ成長の達成が目標
国内市場におけるビジネスについて大江氏は、まず昨年度(2018年度)は注力領域としていた「アプライアンス」「クラウド」「コンサルティング」の3領域で大きな成長を実現できたと説明した。特にクラウド領域では、NetBackupやCloudPointなど製品のパブリッククラウド対応強化、Resiliency PlatformによるAWS活用の“ハイブリッドDR”案件獲得、メールアーカイブ/Eディスカバリサービスの「Enterprise Vault.cloud」におけるマイクロソフト協業とOffice 365向け案件の獲得などで、対前年比319%という大きな成長を実現したという。
今年2019年度も引き続き、ソフトウェアビジネスという従来からの主力領域と上述した3つの成長領域を合わせた「4本の柱」でビジネスを成長させていく。ソフトウェア領域では、今回発表したEDSPを国内OEMパートナーと共にエンタープライズへと展開していく。またアプライアンスでは、国内No.1のNetBackup販売パートナーであるNECが昨年後半からアプライアンスの取り扱いを開始したこともあり、その成長に対する期待を述べた。コンサルティングでは、Information StudioやAPTARE IT Analyticsといったツールを使って顧客環境をアセスメント/可視化することで、クラウド移行や統合バックアップなどの案件におけるコンサルティング力を強化していくとしている。
「OEMパートナーのフロント営業と一緒に案件を追いかけ、ハイタッチセールスで新しいソリューションを提案していく。(スライドに)『国内事業2ケタ成長を目指す』と書いてあるが、(社内の)予算的にもそれが求められており、これは達成しなければならない目標だ」(大江氏)