フラッグの新オフィス、映像コンテンツ制作専用の10GbEネットワークを「M4300-96X」で構築
映像制作現場の「スピード感」を支えるネットギアの10ギガスイッチ
2019年10月07日 08時00分更新
「近年、映像コンテンツ制作のスピード感はずいぶん変わりました。現在ではコンテンツが消費されるスピードも速く、コンテンツ制作はより短いスパンで、より多くの数を求められるようになっています。制作側は常に“回転”し続けている、そんな感じです」(フラッグ 小川氏)
映像コンテンツのプロデュースや制作を手がけるフラッグでは昨年秋、吉祥寺・渋谷の2拠点にあったオフィスを統合し、東京本社として新しいオフィスに移転した。そして、この移転に合わせ敷設された映像コンテンツ制作用の10ギガビットネットワークに、ネットギアのモジュラー型フルマネージスイッチ「M4300-96X」を導入している。
進化と成長の激しい映像コンテンツ制作の現場ではいま、ネットワークインフラにどんな要件が求められているのか。なぜネットギアのスイッチを選んだのか。現場でコンテンツ制作に携わるフラッグの小川聡一郎氏と石濱利之氏、そしてフラッグ社内のハードウェア及びソフトウェアの導入・運用支援を行っているTooの小沼育民氏に話をうかがった。
加速し続ける映像コンテンツ制作のスピード感
フラッグは2001年に創業した映像制作会社だ。現在ではデジタルコンテンツのプロデュースやWebコンテンツ制作、また顧客企業のWebプロモーションやソーシャルメディアマーケティングなどを支援するビジネスも展開する。東京本社のほか、名古屋、大阪、広島、松山、沖縄、ロサンゼルスにもオフィスを構え、社員数は180名を超える。
フラッグのメインビジネスはネット動画広告の制作である。顧客企業にWebプロモーションやソーシャルメディアマーケティングを提案する部署があり、そうした案件が決まった場合は、コンテンツ制作部の小川氏や石濱氏らが映像コンテンツの制作に当たる。顧客企業は広告代理店をはじめ映画会社、動画配信サービス会社、音楽/放送/ゲーム/出版会社など幅広い。現場でコンテンツ制作に携わる小川氏は、日々の業務で制作する映像コンテンツについて、次のように説明する。
「わかりやすい例で言うと、Twitterのタイムラインにときどき企業の広告(プロモーションツイート)が流れてきますよね。そこで表示する動画コンテンツを僕たちが作っているわけです。そのほかにも、インスタグラムのストーリーズで流す広告動画や、展示会用のデジタルサイネージコンテンツなども手がけています」(小川氏)
スマートフォンや4Gネットワークなどの普及に伴って、近年では動画コンテンツが身の回りにあふれるようになった。広告もその例外ではなく、旧来のテレビCMよりもさらに多様な動画広告が制作されるようになっている。それに伴って制作現場のスピード感も高まり続けているのは、冒頭の小川氏コメントにあるとおりだ。
こうしたスピード感の高まりに対応するために、フラッグでは制作スタッフを継続的に増員し、オフィスも拡張してきた。それだけでなく、映像制作用のシステム環境もアップグレードを重ねている。石濱氏は、映像制作現場で求められるシステム環境の要件について、次のように説明する。
「映像制作のスピード化に対応するためには、システムにも“小回りが利く”ことが求められます。具体的には、社内の誰とでもすぐにデータを共有できる制作環境が必要ですね」(石濱氏)
ここでフラッグにおける映像制作業務の流れを見ておこう。クライアントから映像コンテンツの発注があると、制作を取りまとめるディレクターが、石濱氏や小川氏らコンテンツ制作部のスタッフに制作を依頼する。ただし多くの場合、映像制作業務は1人ではなく、映像加工、エフェクト、CG制作といった分野ごとの担当スタッフによる共同作業となる。誰かが加工作業を終えたら、次の担当スタッフがそのデータを開いて加工し、また次の担当へ渡す――そんな「流れ作業」になっているわけだ。
「こういう流れなので、作業対象のデータを制作端末のローカルドライブにコピーしたりはしません。ファイルサーバー上にあるデータを直接開き、加工が終わったらそこに書き戻すという方法です。社内では複数のプロジェクトが並行して進んでいますから、何人もの制作スタッフがサーバーに同時接続し、それぞれネットワーク越しにストリーミングで作業しているようなものです」(小川氏)
通常、コンテンツ1本あたりの素材データは総計で数百GB~1TB程度になるという。これを作業のたびにローカルドライブにコピーし、作業後に戻すという運用では、制作サイクルのスピード化には追いつけなくなるだろう。
フラッグではTooが販売する映像制作用ストレージ「Dynamic Drive Pool(DDP)」を導入しており、ここにコンテンツ制作部のスタッフが各自の制作端末から直接接続し、サーバー上のデータを使って制作作業を行っている。東京本社の場合、3台のDDPサーバーが設置されており、そこに20~30台の制作端末が接続して利用しているという。
ファイルサーバーと制作端末をつなぐネットワークが細ければストレスに
こうした制作環境のため、ファイルサーバーと制作端末をつなぐネットワークには広い帯域と安定性が求められる。そこでフラッグでは、インターネットに接続された一般業務用の社内ネットワークとは別に、映像制作専用の10ギガビットEthernet(10GbE)ネットワークを構築している。
実は現在の東京本社に統合/移転する前、フラッグでは吉祥寺と渋谷(現在のオフィスとは別の場所)にオフィスを構えていたが、そのうち旧渋谷オフィスに敷設されていたのは1GbEネットワークだった。フラッグの制作環境構築を支援しているTooの小沼氏は、当時の状況を次のように語る。
「1ギガのネットワークしかなかったので、それを2本たばねて(ポートトランキングをして)使うなどして、何とか帯域を確保していました。それでもやはり、制作スタッフの方からは『ストレスが大きい』と声が上がっていましたね。今回のオフィス移転は2つのオフィスの統合で、制作端末の台数も増えますから、10ギガネットワークの構築は必須でした」(小沼氏)
一方で、吉祥寺オフィスではすでに2016年から10GbEネットワークを構築していた。ここではネットギアの10GbEスイッチを導入しており、その製品のコストパフォーマンスが良かったので、今回の新オフィス移転においてもまずはネットギア製品が採用候補に上がったという。
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