本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「Raspberry Pi で使うmicroSDカードの選び方 ― 2023年版」を再編集したものです。
こんにちは、8台のRaspberry Piを持っているソラコムの松下(ニックネーム: Max)です。
「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」(以下、ラズパイ)は、センサーやカメラを接続できることから、IoTで人気のあるデバイスです。
ラズパイはWindowsやmacOSのようにOS(主に Linux)をインストールして使うのですが、そのインストール先としてmicroSDが一般的です。多くの種類のmicroSDがあるため、選ぶのに苦労した経験もあるのではないでしょうか?
そこでこのブログでは「Raspberry Piで使うmicroSDカードの選び方」をご紹介します。
この記事は「Raspberry Pi で使うmicroSDカードの選び方 ― 2021年版」のアップデート版です。
Raspberry Piで使うなら「容量=64GB、速度=U1」
入手のしやすさ、 GB単価(1GBあたりの金額)そしてラズパイで快適に利用できる速度という3つの観点から「容量=64GB、速度=U1の microSD」をオススメします。
容量
microSDは、入手しやすい容量が年々変化しています。
2021年頃は32GBが主流でしたが、現在は64GBが一般的に入手しやすくなっています。そして容量の少ないmicroSDは、徐々に入手が困難になってきています。このような状況を考慮すると、入手しやすい中で容量の大きいものが良い選択と言えるでしょう。
過去には32GBを超えるmicroSDへのOSインストールには技術的な手間が必要でしたが、Windows 10以降やmacOSの新しいバージョン等で扱う場合はこのような制約はありません。詳しくは「64GB以上のmicroSDの扱い」をご覧ください。
microSDの容量は日々進化しています。2023年現在では、1TBや2TBといった大容量のmicroSDも入手できます。ラズパイでの利用が気になりますが、1TBについては利用可能なことを確認済みです。(2TBは未確認です)
価格とGB単価
microSD1つ辺りの市価は、32GBで平均550円、64GBは平均780円で、230円ほどの差があります。
1GBあたりの金額である「GB単価」を比べると、32GBは 17.2円/GBですが 64GBは12.2円です。GB単価では64GBの方がお得と言えます。
金額が問題にならない程度の数量であれは、お得な64GBで良いでしょう。大量に必要とするケースでは1つ当たりの単価に気を付けましょう。
速度
速度というのは、microSDに対するデータの読み書き速度です。高速であればあるほど快適に利用できますが、高価にもなります。
速度は「速度クラス」(もしくはスピードクラス)で分類されています。現在の最高速度を表すクラスは「V90」ですが、速度の実用性と入手性を考えると「U1(V10相当)」で十分でしょう。
V90やU1、V10がどのような関係なのか、また他の速度クラスについてはKingston 社のページが詳しいです。また、U1とその1つ上のクラスU3の速度比較はU1とU3の速度差で解説しています。
V90やV60といった「ビデオ速度クラス」が付けられているmicroSDは、主な用途が8Kビデオといった高速アクセス向けという意味があり、ビデオ専用というわけではありません。ラズパイ等のようなデータ用途で利用しても問題ありません。
容量や速度、価格以外で考慮すべき点
容量や金額、速度といった仕様面に焦点を当ててきましたが、動かした後の事、すなわち運用についても考慮が必要です。具体的には2点「microSDの故障に備える」「保証体制を確認する」に気を付けたいものです。
1つめの故障に備える件ですが、microSDは物理的な機構こそありませんが、故障します。すなわちmicroSDは消耗品だと考えましょう。
大まかな方針としては「故障を回避する構成にする」「故障を前提に代替できるようにする」という2つがあります。詳しくは、故障の原因と対策を書いたこちらの記事をご覧ください。
2つめの保証体制は、購入時の「国内正規品」や「並行輸入品」という表記に注目したいという話です。この表記と運用に対する影響はこちらの記事をご覧ください。
おわりに
100円ショップでも見かけるようになったmicroSDは、とても身近な存在です。いざ購入しようと調べてみると、その種類の多さに少し困惑してしまいますが、一つ一つ丁寧に見ていけば最適なmicroSDを見つけることができます。
microSDはライフサイクルが早い製品です。最新情報を確認することで、単一のメーカー/モデルにこだわることなく代替品を準備しておくと良いでしょう。私の方でも、情報のアップデートがあれば皆さんに共有していきたいと思います。
このブログが、みなさんのmicroSD選びの役に立てば幸いです!
― ソラコム松下(Max/Twitter:@ma2shita)
投稿 Raspberry Pi で使うmicroSDカードの選び方 ― 2023年版 は SORACOM公式ブログ に最初に表示されました。
この連載の記事
-
第476回
デジタル
WebRTCとMedia over QUIC Transportの性能比較 -
第475回
デジタル
SORACOM Lagoon 3 の [Math] 機能で、複数データを組み合わせた通知の手順 -
第474回
デジタル
SORACOM Flux の AI アクションに Amazon Bedrock – Anthropic Claude 3.5 Haiku を追加、Teltonika RUT240 の価格を改訂 takuyaのほぼ週刊ソラコム 11/02-11/15 -
第473回
デジタル
IoTセキュリティの基本知識と実践をご紹介 ― 10/31開催:SORACOMユーザー向けオンラインセミナー開催レポート -
第472回
デジタル
SORACOM Flux に追加された Incoming Webhook をつかってインタラクティブな Flux アプリを作る -
第471回
デジタル
サーバールームの異常な温度上昇を通知する新規掲載レシピのご紹介 -
第470回
デジタル
Virtual Private Gateway (VPG) Type-F2 が正式リリースになりました! -
第469回
デジタル
暗号化非対応のTCPクライアントでもNapterまでの通信を暗号化する方法 -
第468回
デジタル
SORACOM Beam や SORACOM Flux の開発・デバッグに使える HTTP モックサーバーを素早く作る方法 -
第467回
デジタル
IoTプラットフォームSORACOMの契約回線数が700万を突破、次世代SIMテクノロジー「iSIM」を商用化、搭載モジュールを提供開始 takuyaのほぼ週刊ソラコム 10/12-11/02
この記事の編集者は以下の記事もオススメしています
-
sponsored
4月6日はSIMの日! あなたの知らないSIMの世界についてソラコムに聞いてみた -
sponsored
宮崎のブランド豚「観音池ポーク」を支えるIoT すべては豚の健康のために -
sponsored
サウナのある生活にIoTができること 「ONE SAUNA」とSORACOM -
トピックス
ソニーがRaspberry Piに出資 AI分野の戦略的協業体制を構築へ