DXを支える技術とは?技術を生かしてDXを推進するために必要な人材も紹介
本記事はユーザックシステムが提供する「DX GO 日本企業にデジトラを!」に掲載された「 DXを支える技術とは?技術を生かしてDXを推進するために必要な人材も紹介」を再編集したものです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進には、さまざまな技術が関わります。主な技術として「ABCD」というワードを聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。
DXを推進して加速させる技術のABCDとは、どのようなデジタル技術を指すのでしょうか。ここでは、ABCDをはじめとするDXを推進する技術と、それを支える人材について紹介します。
DXの実現に必要な技術や要素「ABCD」とは
「ABCD」とは、DXの実現に重要な役割を果たすデジタル技術や要素の頭文字を抜き出したものです。ただしB、C、Dは複数のものを表しており、人によっては異なる意味で使用している場合があります。
なお、DXについての詳細は、「【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで」をご覧ください。
ここでは、「ABCD」の内容を紹介します。
A(AI)
AはAIを示します。AIは“Artificial Intelligence:アーティフィシャルインテリジェンス”の略称で、日本語で人工知能のことです。
画像認識や音声認識、自然言語処理、予測・推論・制御などはAIを応用した技術です。すでにさまざまな用途で実用化されており、多くの場合、IoTやビッグデータなどと組み合わせて使われています。
AIを活用することで、迅速なデータ分析や自動化による業務効率化が可能になりました。また、データ分析は新しい商品やサービスの開発にも大いに役立つ、DXの実現には不可欠な存在です。
AIとIoTの組み合わせについて詳しくは、「AIとIoTを組み合わせると何ができる?活用方法とその注意点」をご覧ください。
B(ビッグデータ、BI)
Bが示すものは以下2種類があります。
・ビッグデータ
英語では“Big Data”と表記します。巨大かつ複雑なデータの集合体のことで、データマイニングや機械学習の素材、マーケティングなどに使われています。
データを収集するIoTや分析するAI、データを送信する5Gなどと組み合わせて使われることが多いです。
・BI
BIとは“Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス”の略称で、ビッグデータの分析結果を可視化し、レポート出力する技術です。収集したデータの分析やデータマイニングなどを行ない、データの内容を視覚化して、活用しやすくします。
DXを推進するには、大量のデータを収集して分析し、活用することが欠かせません。そのためにはビッグデータやBIが不可欠です。
ビッグデータについて詳しくは、以下もご参照ください。
ビッグデータとは―4つのVとメリット、考慮すべき点、活用事例など
C(クラウドコンピューティング、顧客体験、サイバーセキュリティー)
Cが示すものは以下3種類があります。
・クラウドコンピューティング
英語では“Cloud Computing”と表記します。クラウド上で提供されるコンピュータやソフトウェア、データなどをインターネット経由で利用する方法です。ハードウェアを所有しないのでレガシーシステムの問題がなく、必要なときに必要な分だけ使うことができます。場所や端末を選ばず操作可能で、運用管理も容易です。
ほとんどのAI、ビッグデータやBIツールはクラウド上で提供されています。
・顧客体験
英語では“Customer Experience”といい、その頭文字を取ってCXといわれることも多いです。取引の開始前から終了までの間に、顧客が得る体験や価値のことを指します。
顧客体験からレビューの内容を分析して顧客のニーズを発見し、新たなビジネスを創出することは、DXにつながります。また、ビジネスモデルの変革による顧客体験の向上も、DXで目指すべきことのひとつです。
・サイバーセキュリティー
英語では“Cyber Security”と表記します。サイバー領域における不正アクセスや情報の流出・改ざんなどを防止することを指します。
ネットワーク上で動作する端末やシステムが飛躍的に増加するにつれ、セキュリティーの重要性も高まっています。利用する場所を問わず、業務利用の端末を守らなくてはなりません。
D(データ統合、デザイン思考)
Dが示すものは以下2種類があります。
・データ統合
英語では“Data Integration”といいます。
IoTで集めた多様なデータは、そのままでは形式がバラバラで使いにくいため、クレンジングして業務や分析に使いやすく変換しなくてはなりません。それを行なうのがデータ統合です。
・デザイン思考
英語では“Design Thinking”と表現されます。アート的なデザインそのものを指すのではなく、デザイナーがデザインをする際の思考方法を指します。
データからビジネスや顧客の課題を探り、仮説を立てながら潜在的なニーズを発見していく思考方法で、DXを推進するために必要な考え方のひとつです。
「ABCD」以外のDXを推進するために必要な技術
ABCDであげたもの以外にも、DXを推進するために使われる技術や要素はいくつもあります。
IoT
IoT “Internet of Things:インターネットオブシングス”は、日本語では「モノのインターネット」と訳され、さまざまなモノに配置したセンサーにより、大量のデータを収集する技術です。収集したデータはAIにより分析され、自動化により業務効率化を実現したり、DXの契機となる経営判断のもとになったりします。IoTについて詳しくは、「IoTとは?仕組みと効果・課題、導入事例などを紹介」もご覧ください。
5G
5Gは、第5世代移動通信システムとも呼ばれる新しい通信規格です。現在多くの地域をカバーしている4G通信よりも高速・大容量・低遅延で、より多くのデータ通信が可能になります。
場所を問わずに大容量のデータ通信を行なうIoTの普及には、5Gが欠かせません。
5Gについて詳しくは、以下もご参照ください。
マイクロサービス
小さいサービスを実現するシステムを開発していくつも組み合わせ、集合体として利用する開発手法です。それぞれは小さいシステムなので小回りが利き、開発に時間がかかりません。
トラブルの発生箇所もわかりやすく、新しい技術を取り入れやすいのもメリットです。
アジャイル開発
最初から完成形を目指して開発するのではなく、小刻みに開発と修正を繰り返しながら最終目標に近づけていく開発手法です。作成途中の修正、外部環境の変化、事業戦略の変更などにも対応しやすく、マイクロサービスを開発するのに向いています。
これらの技術を扱うDX人材の役割
DXを行なうために必要なのは、デジタル技術だけではありません。DXを推進するには、ビジネスとITの連携が不可欠です。そのため、ビジネスに関する知見を持ちながら、デジタル技術を正しく活用できる人材が必要になります。具体的には、次のような人材です。
・デジタル技術やデータ活用に精通した人材
・自社の業務についても、経験をもとにした知見を持つ人材
・DXの取り組みを主導し、実行を担っていく人材
DX人材の役割
DXをうまく推進していくためには、デジタルと業務両方の知見を持つ人材がDXを推進していくのが理想的です。特に、次のような職務にはDX人材が求められています。
・プロデューサー
DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー的な人材を指します。デジタル技術や自社の業務だけでなく、自社の将来のビジョンも理解し、マネジメントも可能な管理職が理想的です。
・ビジネスデザイナー
DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進を担当します。DX実現に向けた具体的なビジネスモデルを企画・設計する役割です。
・アーキテクト
DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材です。システムを構築するための課題分析・要件定義・設計・開発サポートなどを行ないます。
技術的知識とマネジメント的な視点の両方が求められる役割です。
・データサイエンティスト/AIエンジニア
ABCDなどのDXに関する技術やデータ解析に精通した人材です。ITに関する知識、プログラミングスキル、データ解析に使う統計学の知識などが必要になります。
・UXデザイナー
システムのユーザー向けデザインを担当する人材です。顧客体験向上という観点をシステム構築に取り入れ、わかりやすく使いやすい、楽しい経験になるようなデザインを作成します。
・エンジニア/プログラマー
デジタルシステムの実装やインフラ構築などを担当し、実際にコーディングやテストを行ないます。AI、IoT、機械学習など、さまざまなデジタル技術の知見が必要です。
社内だけで確保できない場合は、アウトソーシングすることも検討します。
DXを推進するためには技術と人材が必須
DXにはデジタル技術が必要不可欠ですが、デジタル技術を用いて業務をデジタル化、IT化すればそのままDXになるわけではありません。DXを推進するには、社風や業務に対する知見をもとに、新しい技術を取り入れて、時には企業文化そのものの変革まで必要になるケースもあります。そのため、デジタル技術を正しく理解し、使える人材がいなければ、DXを進めることはできないのです。
DX推進のため、自社の業務に必要なデジタル技術と、そのデジタル技術を扱えるスキルを持った人材の確保を進めていくことが必要です。
DXの人材確保については、以下もご参照ください。