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AI導入の効果実証を1年半以内に望む企業は85%だが準備十分な企業は13%のみ 2024年AI投資、導入、活用動向の実態は?約8000人の意思決定者にCiscoが調査

Cisco Systemsは、2回目となる年次調査「Cisco 2024 AI Readiness Index」(Cisco 2024 AI成熟度指標)」の結果を発表した。

» 2024年11月22日 08時00分 公開
[@IT]

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 Cisco Systems(以下、Cisco)は2024年11月19日(米国時間)、年次調査「Cisco 2024 AI Readiness Index」(Cisco 2024 AI成熟度指標)」の結果を発表した。

 AI Readiness Indexは、企業におけるAI(人工知能)投資、導入、活用の準備状況を調べるもので、2024年調査は世界30の国と地域の企業(従業員500人以上)でAIの統合や導入を担当する上級ビジネスリーダー7985人を対象に実施された。

 最も注目すべきは、企業が感じているAI導入の緊急性と、導入の準備態勢に大きな隔たりがあることが浮き彫りになったことだと、Ciscoは述べている。

 ほとんどの企業(98%)が、AI導入の緊急性がここ1年で高まったと回答している。ところが、2023年から2024年にかけて企業におけるAI導入の準備態勢はやや低下している。2024年調査では「AIの可能性を引き出す準備が十分に整っている」と答えた企業は13%にとどまる。2023年調査ではこの割合は14%だった。「市場の急速な進化と、AIがビジネスに与えると予想される大きな影響を考えると、この緊急性の認識と準備態勢のギャップは驚くべきものだ」と、Ciscoは指摘している。

 「企業はAI導入、活用に向けて、電力要件、コンピュートニーズ、データセンター内、データセンター間の高パフォーマンスの接続、データ要件、セキュリティなどを再検討している。AIへの取り組みの成熟度がどの段階にあるかにかかわらず、企業は既存データセンターとクラウド戦略を要件の変化に対応させる準備を開始し、戦略の進化に合わせた俊敏かつ弾力的なAI導入計画を立てる必要がある」と、Ciscoの最高製品責任者、ジーツ・パテル氏は述べている。

緊急性の認識と準備態勢のギャップ――AI投資、導入、活用動向の実態

 Ciscoは主な調査結果として、企業におけるAI導入の緊急性の認識と準備態勢に加えて、以下を挙げている。

AI導入の緊急度

 ほとんどの企業(85%)が、18カ月以内にAIの効果を実証し始めなければならないと考えており、半数以上(59%)が、12カ月以内に実証し始めなければならないと考えている。

AIの導入戦略

 企業は、明確な戦略がなければ、AIを効果的に導入できないという共通認識を持っている。回答者の42%がセキュリティへの高度な導入を達成しており、サイバーセキュリティがAI導入の最優先分野となっている。40%がITインフラに、39%がデータ分析とデータ管理に導入している。

AI投資

 現在のAIプロジェクトの成果が低調でも、企業はAI投資を倍増しようとしている。回答者は、5年後にはIT予算の約30%がAIに配分されるようになると予想しており、これは現在のほぼ倍に当たる。

 ただし、企業の半数近くは、優先事項に含まれるAIの実装が、2024年は期待を下回る成果にとどまっていると回答している。それでも、企業の59%は、5年後にはAI投資の効果が期待を上回ると考えている。

インフラ

 ネットワークはAIのワークロードに対応できていない。2024年調査では2023年と比べて、インフラの準備態勢が最も低下した。とりわけコンピュート、データセンターネットワークのパフォーマンス、サイバーセキュリティに関する準備が不十分だった。現在と将来のAI需要に対応するために必要なGPUを確保している企業は21%に過ぎず、エンドツーエンドの暗号化、セキュリティ監査、継続的な監視、即時の脅威対応により、AIモデルのデータを保護できる企業も30%にとどまった。

データ

 2023年調査と比べて、AIへの取り組みのためにデータを効果的に管理する準備が整っていると答えた企業の割合が低下している。だが、回答者の32%は、AI技術を適応、展開し、十分に活用するために、データの観点から準備ができていると答えている。

 ほとんどの企業(80%)は、AIプロジェクトのためのデータの前処理とクリーニングに、一貫しない点や不足点があると報告している。これは2023年調査(81%)とほぼ同水準だ。さらに、64%が、データの出どころの追跡に改善の余地があると感じている。

人材

 熟練した人材の不足が、インフラ、データ、ガバナンス全体にわたる最重要課題となっている。自社の人材は、AIを十分に活用する準備ができていると回答した企業は31%に過ぎない。企業の24%は、AI導入を成功させるために必要な社内人材が不足していると回答している。

 回答者の24%が、AI需要の高まりに対応できる適切なスキルセットを持つ人材が、自業界には十分にいないと答えている。

ガバナンス

 効果的なAIガバナンスがこれまで以上に重要なる一方、回答者はそれが難しくなっていると感じている。

 社内のAIポリシーとプロトコルの包括性を質問したところ、企業の31%が包括性が高いと回答した。一方、回答者の51%は、「AIガバナンス、法律、倫理の専門知識を持つ人材が市場に不足している」ことを、ガバナンスの観点から準備態勢を改善する上での課題として挙げている。

文化

 2023年調査と比べて、AIを受け入れる文化的な成熟度の低下が顕著だ。取締役は、AIの変革力を受け入れることに積極的ではなくなっており、受け入れについて非常に、またはやや意欲がある取締役の割合は、前年の82%から66%に低下している。

 企業の30%が、従業員はAI導入を限定的に容認しているにすぎないか、または頑強に抵抗していると回答している。

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