イタリア料理店「サイゼリヤ」を創業した正垣泰彦(しょうがき・やすひこ)氏の「暮らしを変えた立役者」。第5回ではイタリア料理を柱に据えた理由を明かします。 ※バックナンバーは記事下の【関連記事】からお読みいただけます ◇ ◇ ◇ 深夜営業していたので、お客さんには水商売やヤクザの関係者がいました。けんかはよくありましたが、ある日、ヤクザ同士の口論が激しくなり、ついには店のストーブを相手に投げてしまいました。ストーブが転がったはずみでカーテンに火がつき、店内に燃え広がったのです。 「みんな逃げろ」。先に従業員を入り口から避難させたあと、泊まり込みで働くための布団で消そうとしたが間に合わない。火の手が回っていない裏口から逃げ出しました。正面に向かうと、山本慈朗さんら従業員が泣き顔に。生きているか心配だったのでしょう。 「お客さんも来ないし、店をやめられるな」。全焼した店舗や八百屋を見て思いま