<海洋生物の一部で、海水の酸素濃度の低下により失明するおそれがあることがわかった> 海洋生物の多くは、食物を見つけたり、天敵から身を隠したり、逃げたりするうえで視覚が重要な役割を果たしている。視覚の維持や視覚情報処理には多くのエネルギーを要するため、海中の酸素濃度の変動には敏感だ。このほど、海洋生物の一部で、海水の酸素濃度の低下により失明するおそれがあることがわかった。 網膜の光感受性が水中の酸素濃度に極めて敏感 米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)スクリップス海洋研究所(SIO)の博士課程に在籍するリリアン・マコーミック氏らの研究チームは、カリフォルニア州沿岸に生息するヤリイカ、カリフォルニア・ツースポットタコ、カニ(短尾下目)、コシオレガニの幼虫を酸素濃度の低下した環境にさらし、これら4種類の海洋無脊椎動物の網膜の光感受性が水中の酸素濃度に極めて敏感であることを世界で初めて示
小林和也 フィールド科学教育研究センター講師は、性淘汰のうち特に「性的嫌がらせ」(生まれてくる子供の数が減ってしまうかわりに競争相手よりも自分の子供の割合を高める性質)が、生物多様性を維持している可能性を理論的に示し、シミュレーションによってこの理論が上手く機能することを示しました。なお、本研究における「性的嫌がらせ」とは、自然界の繁殖行動上の現象を示す生態学の用語であり、社会問題としての「性的嫌がらせ」(セクシュアル・ハラスメント、セクハラ)とは一切関係ありません。 本研究成果は、2018年11月14日に英国の国際学術誌「Journal of Ecology」にオンライン掲載されました。 自然界には多種多様な生き物がいますが、それらの生き物の特徴的な色や形の多くは繁殖に関わる性質です。特に種類を見分けるのに役立つ性質、例えば植物の花の形や鳥の鳴き声は、まさに生物多様性の中心的存在です。そ
ペンギンの同性カップルは長らくひなが欲しいと望んでいたようだ(画像はウィーンの動物園のオウサマペンギンの赤ちゃん) Heinz-Peter Bader-REUTERS <デンマークの動物園で起きた珍事件。両親のペンギンが水浴びでいなくなり、取り残されたひなを同性カップルが連れ去った> デンマーク・オーデンセの動物園で、ペンギンの同性カップルが、両親に放置されたひな鳥を誘拐する事件が起きた。その後、両親がひなを取り戻すまでの顛末は、ビデオ動画で撮影されてフェイスブックに投稿された。 オーデンセ動物園の飼育員サンディー・ムンクによると、両親はごく短い時間、日課の水浴びためにひなを置き去りにしたが、この隙を同性カップルが狙った。 このカップルはどうやら長い間、子供が欲しいと望んでいたらしい。そのため、ひなが両親から「ネグレクト(育児放棄)」されたと思い、我慢ができなかったのだろう。 「何かの間違
北海道むかわ町の穂別博物館が、展示していたアンモナイトの化石2点が盗まれとして苫小牧署に被害届を出した件で、同博物館は4日、化石2点が敷地内から見つかったと明らかにした。 盗まれたのは直径約2センチの円形と、長さ約5センチの棒状の化石(計約100万円相当)の2点。いずれも白亜紀末のマーストリヒチアン期前期(約7200万~7000万年前)のもので、この年代のアンモナイトとして北海道道内で初めて見つかった化石の一部。 博物館によると、発見したのは苫小牧市からむかわ町に帰省中の小学生で、7月28日の夕方、敷地内の砂利の中に棒状の化石が落ちているのを見つけた。「変わった石」と思い、1度持ち帰ったが、4日の新聞報道を見て、拾った石が盗難された化石であることに気付き、同日午前に博物館に持参したという。 また、同日昼ごろには最初に発見した場所付近で職員らと小石1つ1つを持ち上げて探す中で、この小学生がも
シベリアの氷の大地で長い時間にわたって凍りついてきた線虫の一種が、実に4万2000年ぶりに息を吹き返して活動を再開していることが明らかにされました。 Viable Nematodes from Late Pleistocene Permafrost of the Kolyma River Lowland | SpringerLink https://link.springer.com/article/10.1134%2FS0012496618030079 Worms frozen in permafrost for up to 42,000 years come back to life http://siberiantimes.com/science/casestudy/news/worms-frozen-in-permafrost-for-up-to-42000-years-come-
サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で、日本が28日にポーランドと戦うボルゴグラードでは毎年この時期、蚊などの小さな虫が大量発生する。ここで最初にあったイングランド―チュニジア戦では、襲いくる大量の虫に選手が苦しめられた。当局が対策で用意したのは、バニラの濃縮液。1次リーグ突破がかかる日本の大一番の前にも会場周辺で散布予定だ。 大会に向けて新設された4万3713人収容のボルゴグラード・アリーナは、そばにボルガ川が流れ、暑い時期は虫の繁殖に絶好の場所にある。 ロイター通信などによると、当局は大会の数日前に殺虫剤をヘリコプターで散布。だが、目に見える効果はなく、18日のイングランド―チュニジア戦では、選手は虫よけスプレーが欠かせなかった。この試合2得点のイングランドFWケーンは「想像以上に虫がいた。目にも口にも入ってくる」と話した。 次の試合を前に、当局は新対策としてバニラ濃縮液を会場周辺
昆虫と人は意外なところでもつながっている。例えば、ペンを使って文字を書く。当たり前のことだが、それにはインクが必要だ。ペンとインクの歴史は古いが、今日多く利用されているインク内蔵型のペンが普及する前は、ペン先にインクをつけながら使う、いわゆるつけペンが主流だった。 そのつけペンのインクとして、古くから用いられているものに「没食子インク(もっしょくしインク、iron gall ink)」と呼ばれるインクがある。ブルー・ブラックが主な色合いのこのインクは、耐水性に優れ、製造も容易であったことから、中世ヨーロッパでは広く用いられた。現在も製造は行われており、古典インクと呼ばれ、親しまれている。実はこの没食子インクの製造には、とある昆虫が欠かせない。 その昆虫というのが、筆者が日々研究している「タマバチ」というハチだ。世界で約1400種がこれまでに見つかっているハチなのだが、ほとんどの種が体長5m
これまで、鳥に食べられた昆虫は子孫もろとも生存の機会を失うという考え方が常識となっていました。これに対し、神戸大学大学院理学研究科の末次健司特命講師、高知大学総合科学系生命環境医学部門の伊藤桂准教授、東京農工大学大学院農学研究院生物生産科学部門の横山岳准教授らの研究グループは、「昆虫が鳥に食べられた場合、昆虫体内の卵は消化されずに排泄される場合があるのではないか」との仮説を立て、この仮説を検証したところ、硬い卵をもつことで知られているナナフシの卵を鳥に食べさせると、一部の卵が無傷で排泄され、ふ化するという結果を得ることに成功しました。 鳥に食べられてもなお子孫を残す可能性を示す本研究は、昆虫が鳥に捕食されると例外なく死に至るものだという常識を覆すものです。むしろ、ナナフシのように移動能力が低い昆虫では、鳥による捕食が分布拡大を促進する要因になりえると言えます。 本研究成果は、5月29日に、
小惑星の衝突後、燃えさかる森林から逃げ出す地上性の鳥の想像図。(ILLUSTRATION BY PHILLIP M. KRZEMINSKI) 今から6600万年前の白亜紀末、直径約15キロの小惑星が地球に衝突した。爆発の威力は原子爆弾100万個分に相当し、ほとんどの恐竜を含む地球上の生物の4分の3が絶滅した。しかし、一部の系統の恐竜は生き残り、小惑星衝突後の過酷な世界を生き抜き、繁栄して、今日の鳥類になった。(参考記事:「鳥類は恐竜絶滅後に爆発的進化した」) 長らく疑問とされていたのは、白亜紀の終わりの大量絶滅を生き延びられなかった鳥もいれば、生き延びられた鳥もいたのはなぜかということだった。 このほど研究者が学術誌『Current Biology』オンライン版に発表した論文によると、小惑星の衝突とその余波により世界中の森林が破壊され、先史時代の樹上性の鳥たちが大量に絶滅したからではないか
野生のシカとの接触事故に頭を抱えていた近畿日本鉄道が、運行時間外にあえて線路を渡れるようにする「シカ踏切」を導入した。侵入しないように排除するのではなく、共存を目指したところ、事故は激減し、対策に光…
サウジアラビアの砂漠地帯で、岩肌に刻まれた犬の絵が見つかった。首にひもをつけられ、狩りを手助けする姿が描かれていた。8千~9千年前に彫られたとみられ、世界最古の飼い犬の壁画の可能性がある。ドイツの研究チームが16日付の専門誌に論文を発表した。 マックス・プランク研究所のチームが、世界遺産に登録されているサウジアラビア北部の壁画「ハーイル地方の岩絵」を調べた。見つかった犬は少なくとも349匹。丸まった尾、とがった耳、短い鼻など現在の「カナーン・ドッグ」という犬に似た特徴を持ち、狩人と一緒に描かれていた。 ガゼルやアイベックスなどの動物を追い立てる犬の群れや、首にひもをつけられ、人に引かれる犬も複数見つかった。人と一緒に大きなライオンに立ち向かう壁画もあった。 犬は「最古の家畜」といわれ、古代から人と暮らしていたことがわかっている。犬の絵の歴史も古く、論文によれば、約8千年前にイランの陶器に描
大きな角が魅力のカブトムシ。その角が作られる仕組みを名古屋大学などの研究チームが、コンピューターシミュレーションを使って明らかにした。さなぎのときに、頭の先端にある袋状の構造が、自動車のエアバッグのように一気に広がって角になるという。 カブトムシの雄は幼虫からさなぎになると、脱皮開始から2時間弱で、突然大きな角が現れる。そのとき、幼虫の頭の先端にあり、将来角になる部分「角原基(つのげんき)」に体液が送り込まれ、一気に3倍以上の大きさになる。 短時間でこれほど大きな形の変化は、細胞分裂や細胞の移動では不可能といい、どうやって作られているかは謎だった。 研究チームは角原基を人為的に1分程度の短時間で膨らませても、角の形になることを確認。さらに、細胞一つひとつの大きさが伸びていないか、コンピューターシミュレーションを使って検証した。 まず、脱皮直前のカブトムシの幼虫から縦5・4ミリ、横8・2ミリ
「カラス侵入禁止」。そう書いた紙をつるしたら、本当に来なくなった――。岩手県大槌町にある東大の研究施設は春になると、カラスに「警告文」を出す。研究者が放つ奇策だ。今年で3年目、東大が連勝している。 4月中旬の午後、大槌湾に面した「東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター」の1階で、佐藤克文教授(動物行動学)がパイプや窓枠に紙をつるしていた。パイプ周りの断熱材はむしられてボロボロだ。「カラスが巣作りで持っていきました」。佐藤教授は苦笑いする。 センターは世界的な海洋研究の拠点として1973年に前身がオープンした。だが、震災の津波は3階建ての最上階まで到達した。その後、3階だけ仮修復したが、1、2階はがれきの撤去後、物置になった。 佐藤教授によると、カラスの被害が目立ち始めたのは15年春。むき出しになった1階天井のパイプの断熱材がむしり取られ、羽根やフンが落ちるようになった。 津波で周囲
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く