私の紹介で入社したメイクアップ会社の30歳の女性が、現在仕事中のタレントの仕事を持ったうえで、会社から「独立する」と言い出した。まだ勤めて3年目だった。そのタレントとはすでに合意を得ているという。 それらが私の耳に入ったのは、その会社社長からの怒りの電話だった。 私たちの業界で、紹介で入社するということは、専門スクールなどの卒業資格や試験をパスして、紹介者が保証人となって働く場が得られることを意味している。それゆえハードルをパスできる利点と同時に、常に本人の労働姿勢が紹介者に跳ね返り、もし会社を辞める時がきても、決して会社に不義理をしないというルールに縛られる。 保証人の私は常々30歳の女性にそのことの意味を教えていた。3年間、私と会うたびに「決して信用を裏切らない」と誓う彼女を、私は見守った。 そしてその約束が裏切られることになった。 知らせを聞いてまず、私は両親と同居するその女性の家に