野田正子さんの日記の一部。「此頃(このごろ)大層風(かぜ)が流行(はや)る」との記述がある=京都市下京区 約100年前、スペイン風邪が猛威を振るう世の中を、12歳の少女がつづった日記が京都市内で見つかった。親類や知人が次々と倒れ亡くなっていく様子、自らも感染し、しばらく学校を休んだ不安な思いを克明に記録。市井の人が疫病をどのようにとらえていたかが分かる貴重な史料で、近く抜粋版が神戸から出版される。(井原尚基) 日記の作者は、同市下京区の徳正寺に生まれ、旧京都市立高等女学校に通っていた野田(旧姓井上)正子さん(1906~98年)。日記帳は2017年、野田さんの弟の孫に当たる同寺住職で詩人の扉野良人(とびらのらびと)さん(48)が境内で見つけた。 同校に入学した直後の1918(大正7)年5月からの4年間を、6冊にわたって記す。試験の出来や鞍馬山への遠足など、最初は穏やかな日常で始まるが、スペイ
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