注意! 「コンピュータと音楽の世界」の生原稿です。内容は、無断引用できません。 引用に関しては、ご連絡下さい。 4.6 音楽の構造解析とその応用 はじめに 本節では、音楽の構造解析を音楽認知科学の視点から客観的に捉える理論や手法を紹介する。これらの取組は、構造解析システムや自動演奏システムにおいて重要なものであるが、残念ながらこれまで日本では音楽学やコンピュータ音楽の領域では十分な解説が行われていない。 現在、代表的な認知的な音楽構造の解析理論には、Meyerの「暗意ー実現モデル」[1]の流れをくむNarmourのクロージャー解析理論[14]と、Schenkerの音楽分析理論の流れをくむLerdahlと Jackendoffによる生成音楽理論(a Generative Theory of Tonal Music;GTTM)[4]がある。ここでは後者を中心に、音楽構造の階層的な解析理論を解説