樟脳を抽出する蒸留釜クスノキの葉や枝などのチップを水蒸気蒸留すると結晶として得ることができる[注釈 1]。クスノキの中に含まれている樟脳はd体である。製造工程としては、クスノキを切削機で薄い木片に砕いて大釜に入れ、木の棒などで叩いて均等に詰めたのち、高温で蒸して成分を水蒸気として抽出し、それをゆっくり冷却して結晶化させる。冷却器の中の水の表面に浮いた白い結晶を網ですくい集め、乾燥後、袋詰めなどをして商品とする。この天然樟脳の製造所は、2006年時点では江戸時代から続く内野樟脳(福岡県みやま市)の1軒のみだったが[3][4]、その後の技術指導などにより、2014年時点で全国で4軒を数える[5]。 一方、化学合成品はマツの精油などから得られる α-ピネンより合成される。後述の通り1920年代に開発された。α-ピネンを塩化水素で処理すると、ワーグナー・メーヤワイン転位を起こして四員環が開裂し、ボ