「取引先への詐欺行為」。東京地方裁判所は2024年7月、システム・エンジニアリング・サービス(SES)を手掛ける複数企業の事業内容をこのように認めた。経営陣らは、エンジニアとしての経験がなかった元社員に対して、経験を有する人材として振る舞うよう「経歴詐称」を強いていた。経営陣らはどのようにして未経験者をITエンジニアへと仕立て、システム開発現場に送り込んでいたのか。裁判の経緯や判決資料から明らかになった手法、日経クロステックが独自に得た関係者の証言からは、日本のIT業界が抱える構造問題が浮かび上がる。 「被告らの事業内容は、取引先に対する詐欺行為により利益を得ようとするものというほかない」。東京地方裁判所で、2024年7月19日に判決が下された損害賠償請求事件において、裁判長が認めた事実である。 裁判は、被告が運営していたSESを事業とする企業(以下、被告運営SES企業。一般のSES企業と
