進行麻痺(麻痺性痴呆ともいう)という病気をご存知だろうか。 今ではほとんど忘れられているが、19世紀に爆発的に増加し、わずか数十年前までは全世界で猛威をふるっていた病気で、1910年代のドイツでは精神病院の入院患者の10~20パーセントを占めていたという。主として中年の男性がかかる病気で、痴呆症状を示すとともに手足が痙攣、体が麻痺していき、ついには人格が完全に崩壊して死亡する。ほおっておけば発症後約3年で死に至る恐ろしい病気である。 当初はまったく原因不明の謎の病気だったのだが、19世紀半ばになると、患者にはある共通点があることがわかってきた。患者はみな10~20年前に梅毒にかかったことがあったのである。実はこの進行麻痺の正体は、長い年月、体内に潜伏していた梅毒スピロヘータが脳を侵して発症する慢性脳炎。ちなみに、1913年、進行麻痺の患者の髄液を培養して梅毒スピロヘータを確認したのは、かの
おおの・かずもと/1955年、兵庫県生まれ。東京外国語大学英米学科卒業。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。現在、医療問題から経済まで幅広い分野に関して世界中で取材を行う。『代理出産―生殖ビジネスと命の尊厳』(集英社新書)、『マイケル・ジャクソン死の真相』(双葉社)などの著書、『そして日本経済が世界の希望になる』(ポール・クルーグマン/PHP新書)などの訳書がある。 NOTEアカウントはhttps://note.com/kaz_sophia 最初のコラムは<最近話題になったニュースから英語を学ぶ> World Voiceプレミアム 海外のキーパーソンへのインタビュー連載。「週刊ダイヤモンド」で好評を博したWorld VoiceがWEBでバージョンアップ。過去誌面に登場したインタビューのノーカット版やWEBオリジナル版をアップしていきます。 バックナンバー一覧 インド、
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