はじめに 1. テキスト上での(通常の)黙説 2. 音声表現を利用した黙説 3. 視覚表現と連動した黙説 4. AVG作品における構造的分割と黙説 5. SLG作品における構造化された黙説 むすびにかえて 《 はじめに 》 多様かつ複雑に広がっているPCゲーム表現は、様々な表現技巧を独自に発達させ、あるいは他分野における様々な表現技巧を摂取し応用してきている。その中には、修辞学でいう「黙説」に相当する表現技巧もまた様々な形で現れている。ここでは、伝統的な修辞学において――ということは純粋に言語上の表現に関して――展開された「黙説」定義からは自由に、「具体的に描写していない(語らない)にもかかわらず、あるいは描写しないことによって、特定の意味内容を表現する」技法のことを意味しつつ、いくつかの実例を紹介検討していきたい。 もちろん、視聴覚複合メディアであるPCゲームにおいては、それらは「修辞」
