膨大なクリエイターが市場に参加できる環境になっても、ヒット作は限られ大半のタイトルは売れない——インディー・アポカリプス。 莫大な数のゲームが登場し「どのゲームを、どういう文脈で遊ぶか」という視点を喪失したインティーゲームシーンの今。 文明が退廃した後の終末的な世界観を描くジャンルにポスト・アポカリプスがある。それが映画や小説といったフィクションの範疇なら、破滅はわかりやすい刺激であるし、終末は現実世界の暗喩として消化できる。 だが、ある文化の名前にポスト・アポカリプスという言葉が織り込まれたなら、その文化は破滅的な何かがあるということなのだろうか? ビデオゲームの世界では、まさにそんな破滅に例えられた分野がある。それはインディーゲームだ。これは大企業に縛られず、独立した個人クリエイターや小さなチームがつくるゲームを指している。 それが現在、インディー・アポカリプス(Indie Apoca
公正取引委員会の調査・発表によって明らかにされた、カバー株式会社による下請法違反。報酬支払の遅延、また発注書等で示された仕様等からは必要であることがわからないやり直しを無償でさせていたことなどが、摘発の対象となった。 報道やXではカバーを非難する声が目立った。もちろんカバーには改善責任があるが、取材を進める中で明らかになったのは、カバー社のみに限った問題ではなく本件はあくまで氷山の一角で、VTuber業界全体に突きつけられている構造的な問題であるということだ。 本稿は、特定の企業や組織を糾弾する意図はない。カバー叩きに勢いづく世論に留まらず、建設的な改善案を探ることを目的に、業界関係者に取材を行っている。 前編では寄せられた証言をヒントに、業界急成長が落とした影にスポットライトをあて、クリエイティブ発注の取引実態に迫った。 カバー社の下請法違反報道への違和感──関係者やクリエイターらが語る
「今年こそが黄金期ではないか」とも言えるほど、多様な国産RPGが発売された2024年。 『サガ エメラルド ビヨンド』の戦闘システムと『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』のシナリオをピックアップしながら、国産RPGの1年を振り返る。 スクウェア・ソフトやエニックスによって、90年代前後に勃興した国産RPG文化。当時は『クロノ・トリガー』や『ドラゴンクエストV』など、聞けば誰もが頷くような名作が山ほど生まれた時代であり、国産RPG黄金期とも称されることがある。 奥深くドラマチックなストーリー、手に汗握るコマンドバトル、魅力的なドット絵のキャラクターやモンスターたち、NPCと話したり武器防具を集めてキャラクターを強化したりするゲームデザインなどなど……。これらの設計は世界中のゲームファンに愛され、現在までに大量のフォロワー作品を生んでいる。 黄金期は遥か昔とはいえ、2024年に発売
第1回 カバー社の下請法違反報道への違和感──関係者やクリエイターらが語る、VTuber業界の“実態” 2024年10月25日、公正取引委員会(以下、公取委)は、VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバー株式会社の下請法違反について、勧告等を行った事実について発表した。 ホロライブ運営カバー社、下請法に違反 アバター修正を243回以上無償でやり直させる VTuberグループ・ホロライブを運営するカバー株式会社が、下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)の規定に違反していたこと… この発表によると、カバーはイラストや2Dモデル・3Dモデルの作成を依頼していた下請事業者23名に対し、不当なやり直しを合計243回行ったという。この数字は決して“たまたま”“例外的に”と言えるものではなく、発注先のクリエイターにとって不利な取引が横行していたことを示唆している。 VTuber事業
アニメは人並み程度には見ているが、声優への関心は希薄だ。というよりも、そもそも誰でも知っているような有名声優でも名前と声とが結びつかない、そうしたセンスが欠落しているのだが、不思議と田中敦子さんの声はしっかり聞き分けることができた。 それはひとえに『攻殻機動隊』シリーズの、草薙素子少佐の存在によるものだ。だから田中敦子さんの訃報を知ったときは、まるで『イノセンス』での、バトーのような気持ちになってしまった。 目次繋がりへの期待を放棄した『イノセンス』時代に遅れ、時代を見送った押井守の『イノセンス』再考救いがなく、惨めで、光の当たらない人生をおくる「弱者男性」としてのバトー押井守と、ミソジニー的こじらせの問題「主体を救い出す」ハードボイルドという試みハードボイルドの美学とは? 反発生んだアルトマン版『ロング・グッドバイ』我々はいかにして、孤独な生をまっとうすればいいのか草薙素子の「守護天使」
「悪役令嬢を探して」第2回:2000年代乙女ゲームの「悪役令嬢」たち。180本以上から見出したバリエーション豊かな悪の華を検証する ライター:向江駿佑 近年人気を集める「悪役令嬢」もの。だが,そのイメージソースとされる「乙女ゲームの悪役令嬢」の存在については,これまで幾度となく疑義が呈されてきた。では,本当に乙女ゲームに悪役令嬢は存在しないのだろうか? 4Gamerではゲーム研究者・向江駿佑氏に依頼し,乙女ゲームの中の「悪役令嬢」史を,全3回の構成でお届けする。第1回となる前回は90年代を扱ったが,今回のテーマは00年代だ。乙女ゲームの多様性が花開いた00年代の作品群から,新たな悪役令嬢たちの魅力を探ってみよう。 今回は,ゼロ年代の乙女ゲームに登場する“悪役令嬢”を検証する。 最初に,前回の記事に大きな反響をいただきながら,第2回がここまで遅くなってしまったことをお詫びしたい。その理由は今
『Mr. マクマホン: 悪のオーナー』ある意味で「なぜみんなトランプに投票してしまうんだろう?」という精神性が見える、アメリカ最大のプロレス団体・WWEドキュメンタリー 振り返ってみればWWEはあらゆるエンターテインメントの要素が凝縮された迷宮である。そしてあらゆるエンターテインメントは実際のところ人間を賢くはしない。むしろ知性という頸木を外してくれるからこそエンターテインメントなのである。 WWEとは3世代に渡る家族ドラマである。そこには『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』といった家族ドラマの傑作と比肩するような歴史が凝縮されている。WWEとは雇用者と労働者の戦いである。そこには『パラサイト 半地下の家族』などなど富裕層による労働者の残酷な雇用といったシナリオもある。WWEとはプロパガンダである。常にアメリカの外敵となる相手をリングに上げ打ち倒す興行を行った。WWEとは現実と虚構をあいまい
ガザ地区で、イスラエルとイスラム主義組織ハマスが戦闘を始めてから、7日で1年。 戦火はイスラエルの隣国レバノンに拡大し、イスラエルと軍事大国イランとの全面衝突に発展する懸念も出ています。 この先の中東地域の動向に注目が集まる中で、私はガザが今どのような状態になっているのか知りたい、ガザの人々に直接話を聞くことはできないか、との思いを強くするようになりました。 そこで向かったのが、ガザの住民10万人以上が避難したとされるエジプトでした。 私がエジプト入りしたのは、番組が放送されるおよそ10日前。 撮影期間は5日間。ガザ支援を行う日本のNGO「パルシック」からの情報提供を受けながら、ガザの人々を訪ねてまわりました。 取材を通して見えてきたのは、ガザの“地獄”がさらに深刻化している現実や、エジプトに避難したガザの人々が戦火から逃れたからといって安心できる状態ではない実態。そして、事態が一向に改善
ある日突然、ソーシャルVRプラットフォーム・VRChatに降り立ち、信じられないほどの勢いでその魅力を広めていった人。それが、ストリーマー・スタンミさんに対する、現役VRChatユーザーとしての素直な感想だ。 その知名度に甘んじることなく、多くの人が見て「おもしろい」と率直に感じる企画を打ち続け、その上で「大切な友人とゆるくもかけがえのない日常を送れる場所」としてもVRChatを大人数へ示した活動スタイルは、類を見ない。彼が現れてから、VRChatコミュニティには波乱が起こりつつも、明らかに活発になっている。数年ほどこの世界に身を置き続ける筆者としては、感謝したい逸材だ。 我々にとっても嵐のような日々だったが、当然、本人にとってはなおのこと嵐のような日々が駆け抜けていったことは、想像に難くない。 今回短い時間ではあるが、筆者はスタンミさんにインタビューする機会を得た。2024年現在のVRC
アメリカのバイデン大統領は、連邦政府が先住民の同化政策の一環として、かつて先住民の子どもたちを寄宿学校に強制的に入れていたことについて、大統領として初めて公式に謝罪しました。 アメリカメディアは、11月の大統領選挙に向けてハリス副大統領への後押しとなることを民主党側が期待していると伝えています。 アメリカ内務省の調査などによりますと、連邦政府は、1819年から1970年代にかけて、先住民の同化政策の一環として400か所以上の寄宿学校を運営し、強制的に入れられた子どもたちは虐待的な扱いを受け、少なくとも973人が死亡したということです。 バイデン大統領は25日、西部アリゾナ州にある先住民の居留地で演説し、政府が先住民の子どもたちを寄宿学校に強制的に入れていたことについて、アメリカ大統領として初めて公式に謝罪しました。 演説でバイデン氏は「これはアメリカの歴史の中で最も恐ろしい時期の1つだ」と
「自分はもうオワコンだと思う」──予想外の言葉を口にしたやみえんさんが語ったのは、期待されながら走り続けた2年間への疲れと、「自分自身は応援されたいとは思わない」という、赤裸々な心境だった。 しばらくは配信者としては「隠居」するとも語る中、残された目標は何か。今後の展望について尋ねる前に、動画投稿者、配信者、役者、コンカフェプロデューサーなどなど、様々な活動を積み重ねてきた、これまでの人生を振り返っていただいた。 ■撮影:Vket2024S The Alter Vista - Crescent Calm(VRChat) 目次2007年のニコニコ動画から始まった動画投稿と配信配信者は最初から職業になると考えていた。それでも「お金に興味はない」最初は「声優になりたかった」役者・やみえんの歩みをたどる配信とは違う、現実逃避の場としての舞台「百合」コンセプトのコンカフェで叶えたいもの「いいなと思っ
本当に辛い。本当に辛いが、こういうよく分からないノウハウは記録してネットの海に流すしかない。これを読んだ誰かを助けることになるかもしれないから。 7月末、switchが故障した。久しぶりに取り出すと充電が切れており、充電してから起動したのだが……ニンテンドースイッチというロゴが表示されたまま動かない。通称ロゴフリーズと呼ばれる症状だ。 これにいかにして対応したか。そして結果どうして治ったか、記述していく。 冷や汗が出た。本体が壊れただけなら最悪買い換えれば金で解決する。しかし中にはポケモンのデータが入っているのだ。switchのセーブデータは全て本体に記録される。バックアップがニンテンドー公式のサポートでクラウドに保存されるのたが、何故か……本当にそうする道理が分からないのたが……ポケモンとどうぶつの森だけはバックアップされないのだ。 最新作スカーレットバイオレットには歴代の相棒ポケモンた
謎めいている──配信者・動画投稿者であるやみえんさんへの、率直な感想だ。 経歴を調べていくと、2000年代から動画投稿・配信を始め、YouTubeを中心に活動しつつ、時には俳優として舞台に立ち、時にはコンセプトカフェのプロデュースも手掛けている。それぞれの活動領域が重なっているようには、パッとは見えない。非常にマルチな活動を精力的に展開している人物だ、と感じた。 そしてなにより、直近ではバーチャルアバターを獲得し、ソーシャルVRプラットフォーム・VRChatにやってきた。昨今のストリーマーによるVRChatブームが巻き起こっている中、VRChatの住民たちを招いて話を聞くユニークなインタビュー企画を仕掛けてきたやみえんさんに、現役VRChatユーザーである筆者も以前から注視していた。 様々な興味が湧く中、筆者はやみえんさんに、2時間に渡るインタビューを実施した。不意に切り出されたのは、「自
2023年の末、私はPlayStation5で『ペルソナ5 ザ・ロイヤル(以下、『P5R』と表記)』(アトラス)をプレイしていた。高校生の主人公を中心とするグループが「心の怪盗団」として活躍する人気RPGだ。 私は『P5R』をプレイしながら、幾度となく「大衆社会論だ……」と呟くことになった。その少し前、私は大衆社会論に関する論文を書いたのだが、『P5R』はまさに「大衆」を重要なテーマとする作品だったからだ。 ペルソナ5には無印とロイヤルの二種類があるのだけれども、ロイヤルのほうが大衆社会論としての深みが増している。 — Shotaro TSUDA (@brighthelmer) April 5, 2024 折しも、アトラスは2024年の10月11日(金)に新作RPG『メタファー リファンタジオ』の発売を予定している。ペルソナ3/4/5のスタッフによる作品で、トレイラーを見る限り、たしかにイ
ひとつの寓話から始めたい。『サルたちの狂宴』という、シリコンバレーのスタートアップ企業を運営していた人間が自らの経験を記した本がある。FacebookやAppleで活躍した著者は、当のスタートアップについて自嘲的にこう語る。 スタートアップとは、新しいアイディアによって華やかな未来を提案する夢のある新興企業のように思える。しかし著者にとってそれは、本の原題である“カオスモンキー”に近いものだ、と。 カオスモンキーとは、自社のシステムが障害に耐えられるかどうかを試すために、意図してシステム障害を起こすプログラムのことだ。『サルたちの狂宴』では、スタートアップの台頭とはある種、「社会にとってのカオスモンキーのようなものだ」と喩えてみせる。 たとえばUberの登場によって既存のタクシー業界が影響を受けたように、新興サービスが台頭するということは、既存の社会が無傷でいられるか、どんな犠牲を払うこと
Heavy Is The Crown ft.Linkin Park(オフィシャルミュージックビデオ)| リーグ・オブ・レジェンド Worlds 2024 アンセム 米・ロックバンドのリンキン・パーク(Linkin Park)の新曲「Heavy Is The Crown」。 ゲーム『League of Legends(LoL)』の世界大会「2024 League of Legends World Championship(Worlds 2024)」のテーマ曲です。 これまでImagine DragonsやLil Nas X、NewJeansといった著名なアーティスト陣が手がけてきた「Worlds」のテーマ曲。 それら続くのは一体誰なのかと期待のハードルが高まる中、7年ぶりに再始動したばかりの伝説的ロックバンドが担当することが明らかとなり、コミュニティに激震が走りました。 9月25日に公開され
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