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増田文学に関するPEH01404のブックマーク (2)

  • 旅が終わる気がする

    私の故郷はとても寒い場所にあって、そこで大人になるまで暮らしていました。 事情があって町を出てから初めて、あぁ、私はここから当に離れたかったのだなと気がつきました。 一人暮らしを始めた日は大雨警報が出ていて、ラジオからは空港で足止めになった人がインタビューを受ける声が聞こえました。 これから暮らす知らない街は嫌がらせのように道が入り組んでいて、番地の順番はひどく不規則でした。土砂降りの中、散々迷ってほうほうのていでアパートに辿り着いたとき、私は全身ずぶ濡れで、まるで服のままシャワーを浴びたかのようでした。 電気がまだ通っていなかったので部屋の中は真っ暗でした。ドアを開けると、安くて古い家特有の匂いがして、一歩進むごとに床がぎしぎし鳴りました。アパートの廊下の灯りに照らされて、自分だけの部屋に一人佇む私のシルエットが浮かぶのが見えました。 それを見た瞬間、お腹の底からわーっと力強いエネルギ

    旅が終わる気がする
    PEH01404
    PEH01404 2020/07/01
    増田文学2020年大賞候補
  • 猫を飼っていると

    ひとりでも生きていけそうな気がしている。 行ってきますとただいまを言える生活が張りがでている。 うちのが特別に賢いのだと思うが、帰宅すると玄関まで駆けてきて、上り口でちょこんと座って「ぬぅ」と鳴く。かわいい。 俺のことが大好きなんだけど、敢えて土間にまでは下りてこないというこの奥ゆかしさよ。 でも思うんだ。 このかわいいかわいい俺のも、まず確実に俺より先にあの世にいくんだな、って。 そうなった後、俺はどうやって生きていけばいいんだろう。 ひとりでは生きていけない気がする。 俺はが居てようやく、生きているのかもしれないのだな、ってしみじみ感じる。 人間全部死んでもいいけど、俺のは生き残りますように。

    猫を飼っていると
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