村上春樹の新作『騎士団長殺し』を読んでいるうちに、村上春樹と上田秋成について書いた文章があったことを思い出した。 もうだいぶ前に書いたものだ。たしか『文學界』に寄稿したのだと思う(違うかも知れない)。江藤淳が上田秋成について書いていたものをちょうどその直前に読んでいたので、上田秋成~江藤淳~村上春樹という系譜を考えてみた。 上田秋成と村上春樹の関連については論じた人がいくらもいると思うけれど、江藤淳をまじえた三者を論じたのはたぶん僕の創見ではないかと思う。 『騎士団長殺し』はまだ上巻が終わったところで、これからどうなるかわからない。 もしかすると、ここに書いたような話になるのかもしれない。そう思うとどきどきする。 「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(村上春樹)について 小説を論じるときに「主題は何か?」というような問いから始まるアプローチはずいぶん時代遅れのものだ。私の定かならぬ