「失われた20年」の内幕を克明に記した ノルマを達成できない社員には容赦なく鉄拳が飛び、ときには顧客に損をさせることがわかっていても、商品を買わせることがある。気づけば同期は一人また一人と姿を消し、残った者たちも次第に出社するのが嫌で仕方がなくなり、日曜の昼から酒を煽るようになる――。 これは、昨今話題のブラック企業の話ではない。70~80年代の証券会社の世界で当たり前に見られた光景だ。 パワハラという言葉などまだ影も形もなかった時代、証券の世界は戦場だった。「失われた20年」に至る金融業界の内幕を、トップ証券マンが描いた『野村證券 第2事業法人部』が発売された。 金融・証券業界では「バブルの時代を総括する、とんでもない本が出るらしい…」と発売前から話題になっていたこの一冊。著者の横尾宣政氏は、当時の証券界では知らないものはいないと言われたほどの人物だ。 1954年、兵庫県生まれ。1978