岩井俊二監督の最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』が絶賛公開中だ。原作、脚本も監督自身が手掛けており、主人公・七海を演じるのは『ベルリン国際映画祭』で銀熊賞(最優秀女優賞)に輝き、今もっとも注目を集める黒木華。 他者との距離を保ち、「人並み」であるように生きていた七海が、何でも屋にアルバイトを斡旋されていくうちに、Cocco演じる破天荒な真白と出会うことで、内に秘められた自分自身に気づいていく・・・儚くも美しい、この物語について、岩井監督に話を訊いた。 取材・文/ミルクマン斉藤 写真/木村正史 「考え方が違う人をみんな認めなくなってきた」(岩井監督) ──つい先ほど行われた舞台挨拶で出てきたタイトル誕生秘話、ちょっと笑ってしまいました。あれこれ構想しながら目黒川沿いを散歩していたときに聴いていたのがバンド・クラムボン(註:本作で七海が名乗るハンドルネーム)で、ちょうど散歩の折り返し地点に