高田馬場四丁目の居酒屋で、ひとりはしゃぐ男がいた。 知り合いの編集者でもなければ、ライターでもない。けれど、昔、何度か見た覚えがある。 「うちの会社辞めて、ライターになった、永沢光雄ってやつだよ」 白夜書房から出ている「ビデオ・ザ・ワールド」(現在はコアマガジンより)の中沢慎一編集長が私に教えてくれた。 永沢光雄氏の酔いっぷりは、下戸の私から見ても本当に楽しそうだった。それからしばらくして「ビデオ・ザ・ワールド」誌上に永沢光雄の連載がはじまった。後に一冊にまとまりベストセラーになった『AV女優』の原点である。 同誌にはすでに私もインタビューを連載していた。信じられないことだが、連載をはじめた二〇年前は、AV女優に私生活を訊くのはタブーとされていた時代で、初体験話も話したり話さなかったり、当人次第。メジャー誌では色物ページとして、適当に記者が創作するケースもあった。こちらが親の話を聞こうとす