歓待について―パリのゼミナールの記録 作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,広瀬浩司出版社/メーカー: 産業図書発売日: 1999/12メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 36回この商品を含むブログ (11件) を見る 前回も書いたように、この本に収められたデリダの議論で、ぼくがもっとも注目するのは、彼が「歓待」を「欲望」の問題として、家族的な共同体における権力というテーマと重ねて考えている点だ。 「家族的な」という言葉の意味は、後で出てくる「父的でファロス=ロゴス中心主義的な婚姻のモデル」というデリダの表現に重なり、オイディプスとヘーゲルの思想が、とりあえずそれを代表するだろう。それはどこかの地域の歴史や現在の社会のなかというより、われわれの内部にあって今われわれを呪縛している共同性のモデル、ということだろうと思う。 ぼくにはこれは、非常に今日的な問題に思える。
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