藤田 香 サプライチェーン上流や国内の外国人労働者の人権問題が深刻になってきた。投資家の評価も始まった。人権は企業にとって経営の根幹に関わる問題だ。 「グローバル企業として恥ずかしい。自分が外国人なら働きたいとは思わないだろう」。ある専門家は残念そうにこう話す。 2019年9月、日立製作所はフィリピン人の技能実習生43人に対し、技能実習計画とは異なる単純労働をさせていたとして、技能実習適正化法違反で厚生労働省から改善命令を受けた。同社は18年も、実習生に異なる仕事をさせているとして国から実習計画の認定が下りず、100人近い実習生を解雇した。その際、「違法ではない」と話した中西宏明会長のコメントが、実習生の人権を軽んじているとして同社の印象を悪くした。 日立といえば経団連の会長企業。そして、「グループ人権方針」を社の行動規範と同じレベルで13年に策定した “人権先進企業”だ。当時、日経ESG