出発点は和田氏の「Alephキーボード」 そもそもの発端は、東大名誉教授の和田英一氏が「マイキーボードを作りたい」と考えたことでした。和田氏は日本のコンピューターのパイオニアといえる計算機科学者。早くも1960年代半ば、個人用計算機(現在のパソコン)の出現とそれらが電線でつながること(同じくインターネット)の重要性を説いた和田氏は、長年コンピューター研究の中枢で活躍を続け、90年代までにはプログラミングとその周辺分野に多大な功績を残していました。 ところで、コンピューターのプロフェッショナルである和田氏はまた、UNIXのプロフェッショナルユーザーでもあり、コマンドを入力するためのキーボードは最も身近な道具の一つでした。しかし一方で、90年代までにパソコン本体が多様化するとキーボードにもさまざまな規格が並立するようになったため、「パソコンが換わるとキー配列も換わる」という事態が生じるようにな