日本銀行の超金融緩和政策は少なくともこの2年間、逃避先通貨としての円の地位をむしばんできたが、正月に発生した能登半島地震に対する為替相場の反応はさらに深い問題を浮き彫りにしている。 日本企業が輸出拡大から海外進出に軸足を移すにつれ、日本の対外純資産に占める直接投資の割合が大きくなっている。証券投資の比率は2014年に直接投資を下回り、その後もさらに低下している。海外への直接投資は証券投資の影響を上回るほど増加し、安全資産需要からの円の上昇を抑制している。 日本で災害が発生した際、海外にある「金融資産は流動性があり、売却してレパトリという話になるのだろうが、工場や拠点の閉鎖」は考えづらいと三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは話す。製造拠点の空洞化で国力が低下している日本の通貨を「有事に安全資産として買い、それがトレンドとしての逃避通貨になることはないと思う」と述べた。 過去数年間は、