11日に閉幕したベネチア国際映画祭で、2本の日本映画が客席からひときわ大きな支持を得た。コンペティション部門に参加した三池崇史監督の「十三人の刺客」と、オリゾンティ部門の園子温監督の「冷たい熱帯魚」である。 「十三人の刺客」は冷酷非道な藩主を暗殺するために十三人の男たちが組織される。「冷たい熱帯魚」は気弱な男が、意に反して非道な犯罪者夫婦の片棒をかつがされる。いずれも、主人公が反撃に出た瞬間、劇場全体がワーッという拍手と歓声に包まれた。 2本には共通点がある。すさまじい暴力描写だ。大量の血が流れ、画面が真っ赤に染まる。観客に不快な思いをさせない配慮は三池監督にも園監督にも全くない。配慮が暴力から痛みを取り去り、暴力に対する嫌悪感をマヒさせることを知っているからだ。 とことんまで暴力を描くことが反暴力につながる。今年のカンヌ国際映画祭に「アウトレイジ」を出品した北野武監督とともに、鮮烈