資産運用を考える上で大切なことは「分散投資」だといわれている。現代のグローバル社会の中では、セクター別の分散だけでなく、通貨の分散、地域の分散、購入時期の分散など様々な要素を考える必要がある。今回は、その中でも「通貨分散」について考えてみよう。 通貨の世界シェアの現況 BIS(国際決済銀行)は、3年ごとに為替市場における通貨別取引高をまとめている。2016年4月の月間1日あたりの取引高が最新データだ。それを見ると上位3通貨が圧倒的なシェアを持ち、米ドル43.8%、ユーロ15.6%、日本円10.8%とおよそ7割を占めている。以下、英ポンド6.4%、豪ドル3.5%、スイスフラン2.6%、カナダドル2.4%と続き、世界第2位の経済大国である中国元は、その他15%の中に埋もれている。 このデータから分かることは、やはり米ドルが世界の基軸通貨の地位を維持しているということ、そして、我々が普段接してい