東日本大震災の約1カ月後から、山本潤さんは被災地に入った。物資調達支援とともに、現地でのニーズや実態を聞くためだった。 山本さんは性暴力被害者支援看護職(SANE)の資格を持ち、性虐待の被害当事者でもある。宮城・岩手・福島の3県を訪れる際に持っていったのは、生理用品や下着のほか、性暴力やDVについての相談窓口を載せたカード。緊急避難先で被害に遭った人が、誰にも相談できない状況になることを心配した。 性暴力の根絶を目指して活動するNPO法人しあわせなみだの代表・中野宏美さんも、他団体と連携して物資の提供や、医療従事者や災害ボランティアに向けて、災害時の性暴力についての研修活動を行った。 山本さん、中野さんが震災後に被災地支援を行った理由は共通している。「震災前に正井禮子さんの話を聞いていたから」だ。 「ウィメンズネット・こうべ」代表の正井禮子さんは、2014年1月に発表された「東日本大震災『