ポイント ヒト培養細胞内で、環状mRNAを鋳型としたたんぱく質の大量合成に成功した。 環状mRNAはたんぱく質合成のためにキャップ構造やポリA鎖を必要としない。 たんぱく質の新しい大量合成法として、産業・医療応用が期待される。 JST 戦略的創造研究推進事業において、名古屋大学 大学院理学研究科の阿部 洋 教授(理化学研究所 伊藤ナノ医工学研究室 客員主管研究員)、阿部 奈保子 博士研究員らは、ヒト培養細胞内で環状mRNA注1)から終わりのないたんぱく質合成が起きることを見いだしました。 産業や医療への利用を視野に、真核生物注2)においてたんぱく質を大量合成する技術の開発が望まれていました。しかし原核生物注2)とは異なり、真核生物のたんぱく質合成系は複雑な構成要素からなるため、いまだにそのメカニズムは完全には明らかになっていません。真核生物のたんぱく質合成系で鋳型となるmRNAは通常は線状