うちは子供の頃すごい貧乏でさ、父ちゃん死んだのが原因なんだけどね。 母ちゃん一生懸命働くんだけどさ、まあ貧乏なわけ。 それでもおれ、ねぇちゃん、母ちゃん楽しく生活してた。 おかずなんて無い日も多くて、ご飯と味噌汁が基本。 たまに魚とか出てくる日はそりゃもうワクテカなんですよ。 ある日納豆が食卓に出た時があって、おかめ納豆だった。 あれ3パックじゃん。 おれ、ねぇちゃん、母ちゃんの分なんだけど、母ちゃんさ最後の1パックをおれとねぇちゃんに分けてくれるわけ、母ちゃん納豆嫌いだからとか言って。 本当は母ちゃん好き嫌い無いこと知ってんのに、おれもねぇちゃんも腹減ってるから遠慮無く食べるんだよね。 大きくなったらさ、働いて働いて、母ちゃんに好きなもん食わせてやるのが夢だったんだ。食卓にさ、好きなもんズラーッと並べてさ。 でも母ちゃん仕事のし過ぎで、あっけなく死んじゃった。 おれ何もできなかった。 お