先日コラムに取り上げた黒澤明監督の『七人の侍』が公開されたのは、昭和29(1954)年だった。同じ年に、黒澤監督の親友だった本多猪四郎監督が『ゴジラ』を世に送り出し、怪獣ブームを巻き起こす。 ▼それから60年たった今、米国の特撮怪獣映画「GODZILLA(ゴジラ)」が、大ヒットしている。日本でも7月に公開される予定だ。 ▼米国版ゴジラは、16年前にも製作されている。ただしこのゴジラは、日本の元祖ゴジラには似ても似つかぬ、巨大化したトカゲのような姿をしていた。ゴジラファンをがっかりさせて、興行的にも失敗する。今回のゴジラは、元祖のイメージに忠実に作られている。それがヒットの要因のひとつのようだ。 ▼米国版ゴジラでは、原発事故が描かれているという。元祖ゴジラは水爆実験で目覚めたことになっている。東京が火の海となり、観客にかつての空襲の恐怖を思い出させるようなシーンもある。ということは、新旧のゴ