新著を刊行した大澤真幸さんによる「時評」第二回です。原子力発電所の帰趨をにぎるのは作業員の方々である。彼らの苛酷な労働環境を想像するとき、私たちにできることはないのだろうか、と思わずにいられない。大澤さんの提言をお読みください。 今、日本で、いや世界で最も重要な仕事、最も多くの人の最も基本的な運命を左右する仕事は、東京電力福島第一原子力発電所にある。日本の運命は、福島第一原発の労働者の働きにかかっていると言って、過言ではない。したがって、われわれ全員が、日本人はもちろんのこと世界中の人々が、福島原発の労働者を支援してもよい立場にある。 今回は、この福島第一原発の労働者について書いておく。内容は難しくはない。ごく単純なことばかりである。 福島原発の労働者たちの士気は、目下のところ、非常に高いと聞いている。おそらくその通りであろう。 あのような危険で劣悪な環境で、しかもたいした報酬も得られなく