アルゼンチンアリやヒアリなどの侵害性アリに対し強大な敵に出会ったかのような激しい忌避行動を促す成分を在来アリの体表物質の中に見出しました。その成分の“仮想敵”効果と神経行動学的作用機構の解明についての研究成果が、2022年8月30日に、Frontiers in Physiologyに掲載される予定です。 私達は日本固有の普通種であるクロオオアリが体表に分泌する全炭化水素成分を合成するなどし、そのうち微量成分として検出される(Z)-9-トリコセンが、南米から世界中に生息域を拡大して人々の生活や経済活動に多大な被害を及ぼすアルゼンチンアリやヒアリに対し安全、強力、かつ持続性の高い忌避剤として作用することを示しました。 電気生理学的、免疫組織化学的手法を駆使してこの成分に対する反応を調べ、触角感覚器の応答から脳内一次中枢の活性化にいたる神経行動学的メカニズムを明らかにしました。その結果、この成分