小学生のころ初めて手にした石原慎太郎氏の著作は、小説ではない。両親が読み終えてちゃぶ台に置いていた、『スパルタ教育』だった。どれほど子育ての参考になったのか、定かではないが。 ▼石原氏は、『「父」なくして国立たず』という別の本でこう語っている。「国家を構成する家庭、そのリーダーである父親がしっかり立たなくて、どうして国がしゃんと立てるというのでしょうか」。齢(よわい)八十を数える石原氏ほど、「リーダーである父親」のイメージの強い政治家は見当たらない。 ▼過激な発言でしばしば物議を醸す石原氏には、拒否反応を示す人が少なくない。ただ現在のように、外交、内政あらゆる面で政治が行き詰まると、強烈な父性への期待が、いやが上にも高まってくる。 ▼その石原氏がきのう、東京都知事を辞任し、自らを党首とする新党を結成する意向を明らかにした。「中央官僚の国家支配をぶちこわす」。きのう都庁で開かれた緊急会見では