「AV女優になっていなかったら、何をしていたと思いますか?」 この仕事をしていて、とてもよく聞かれる質問だ。 周りの同業の女の子たちはキラキラと輝く目で、アナウンサーとか、お嫁さんとか、看護師さんとか、思い思いに想像したパラレルワールドの自分を語る。 私はと言うと、大したものになっていなかっただろうな、と思うだけだ。強いて言えばフリーターだろう。アルバイトだってろくに続きやしなかったけれど。 いつもより時間と体力のいる内容のAV撮影をしてくたくたになって帰宅した深夜、もう何もしたくない、明日も早起きして続きを撮るなんて信じられない……と打ちひしがれながら玄関のドアを開けると、自動で点くはずの電気が点かなかった。まさかと思いスイッチを入れても、家中どこの電気も点かない。察した通り、ポストには「送電を停止しました」と書かれた紙が入っていて、3ヶ月分の電気料金を払っていなかったことを知る。 公共
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