朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)が、主人公の寅子(伊藤沙莉)が「はて?」と疑問を呈しながら男社会の日本法曹界を開拓する物語ならば、同じく現在放送中の『燕は戻ってこない』(NHK総合)は、「はて?」というすべを持たない女性たちの物語ではないだろうか。卵子提供のアルバイトを持ちかけてきた主人公・リキ(石橋静河)の同僚のテル(伊藤万里華)は「だから、うちらはわかることだけ考えてりゃいいの」と言った。目の前にあることだけを考えて、難しいことは考えを放棄する。その結果、厳しい現実を受け入れるしかない彼女たちの姿は、まさに「はて?」の逆を行くものだ。 29歳のリキは、5年前に北海道から上京してきたものの、現在は手取り14万の病院事務の仕事をしながら、なんとかやりくりをする毎日を過ごしている。ある日引っ越しを余儀なくされたリキは、以前話していた“卵子提供”でまとまった金を得ようと、生殖医療エージェント「プ