解体準備が進む旧水神屋。看板はめくれ、建物の外壁は剥離している=茨城県龍ケ崎市佐貫町で2024年2月28日午後0時15分、鈴木美穂撮影 東京と仙台を結ぶ「6国(ろっこく)」こと国道6号。今年5月、茨城県龍ケ崎市の6国と牛久沼の間にある大きな廃虚が取り壊され、更地となった。作家の松本清張にも愛された老舗ウナギ料理店「水神(すいじん)屋」の建物だ。朽ち果てた経緯を追うと、昭和から平成に至る開発で浮き沈みした、ある家族の甘苦がにじんだ。 国道沿いの廃虚 外壁が崩れ、鉄骨がむき出しになっていた。1日約3万台が往来する6国から見える、水神屋の取り壊し前の姿だ。 1971年に建てられた3階建てのレストランと、75年築の5階建てホテルの2棟からなり、2011年の東日本大震災後に営業を終了し放置されていた。 旧ホテルはとりわけ損傷が激しかった。その姿は廃虚マニアたちの関心を集め、肝試しと称して建物内に入っ