安倍晋三首相としては、「外交の安倍」の面目躍如といきたいところだろう。「戦後70年以上残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つ」と北方領土問題の解決に並々ならぬ意気込みを見せている。目指すは、長年膠着状態にあったロシアとの交渉を動かし、色丹島と歯舞群島の返還を実現させることだ。 2島返還で「最終決着」の懸念 安倍首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は11月中旬にシンガポールで行った首脳会談で、1956年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約締結交渉を加速させることで合意した。共同宣言には、北方四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)のうち色丹島と歯舞群島の2島を平和条約締結後に日本へ引き渡すことが明記されている。これを基礎にするということは、平和条約を締結して、まずは色丹島と歯舞群島の「引き渡し」をめざすということを意味する。 安倍首相の