北米の日本学に危機が訪れている。ここ20年間の日本を見舞った経済不況により学生たちの日本に対する関心が落ちているなか、日本学のアイデンティティを危機が襲っているのである。カナダのトロント大学では多数の地域研究の統合が提案されたが、それは日本学が消えてしまうという印象を与えた。北米の小規模の大学などでは登録学生数が少ないという理由で日本学科が実際に廃止されたケースもある。一方で、これまで北米の学生たちが関心を見せてきた経済、政治、宗教、文学などの領域が徐々に衰退した分野として認識されはじめたここ10年の間に、世界的に人気を集めたアニメやマンガに対する関心が上昇した。その結果、近年になって日本語を学ぼうとする学生たちが再び少しずつ増加しはじめたのである。現在、アニメとマンガについて教えるのは北米の日本学科では一般的なことになり、いくつかの大学が最近公示した日本学教員の募集要項にも「募集対象は日