報道カメラマンは撮る前に目前で進行している悲劇を少しでも救うべきではないか、という議論がよくあります。『シビル・ウォー』も撮ることの暴力性を強調している作品です(それゆえ普遍性のある内容になっています)。ジェシーは自分が死ぬ瞬間をリーが撮るのではないかと言っていました。しかし当のリーは報道の力を信じられなくなり、目前で起きている事態に介入しジェシーをかばって死にます。一方でジェシーは(リーが報道カメラマンとしての役割を降りたあとでも)大統領が目前で殺される様子を止めもせず撮っている。これは自らの暴力を自覚した者と暴力の魅力に目覚めてしまった者の対比ではないでしょうか。ジェシーは自らの暴力性に途中までは気づいていたものの、最終的に一線を越えてしまいました。またリーの相棒であるジョエルは早々に越えており、そこに疑念も持っていません。 監督はそれでも報道カメラマンの役割を否定してはいませんが、し