[東京 4日 ロイター] - 金融担当記者になりたての10年ほど前、ある大手銀行の役員がこう言った。「世の中には、銀行家と銀行屋がいるんですよ」。 どの仕事にもこうした言い回しはあるだろう。銀行屋とは、単にお金を貸して儲けることに血眼になる銀行員。銀行家とは、銀行という仕事を通してあるべき社会にどのように貢献できるのかを求める人のことだという。 この言葉を思い出したのが、東京・神奈川県を地盤にする城南信用金庫の理事長を務める吉原毅氏のインタビュー(here)を行った時だ。地域に根差す信用金庫という業態でありながら、預金量は3兆5000億円、信金業界2位。地銀中位行にも及ぶ規模を誇る。 それだけ顧客数も多く、しがらみもある中で、「脱原発の思想」を胸を張って語ってくれた。「脱原発」だから、すごいと思ったわけではない。国論を二分するテーマについて、しかも、国や経済界の主流が原子力発電所の再稼働を